第四章 国
第 2 節 巨大津波は「法律」では防げない
1、命の救済に「法律は無力」だ
国の方針は、国らしく法律に基づいて巨大地震、巨大津波を「防災」しようとして官僚が右往左往している。しかし、子供でも知っているように津波は法律と関係がない自然災害だ。どんな立派な法律でもそこまで手が届かない。特に災害が人の命に関わるとき「法律は無力」だと覚えておいた方が良い。人の命から見れば、法律は災害の事前準備・事後処理にわずかに関わるに過ぎない。
2、説明だけの「言葉は無意味」だ
国は、大反省を回避して一部有識者などの提唱する「多重防御」「減災」などの二元言葉、また「公助」「共助」「自助」などの便利言葉にすがろうとしている。実態のない、また実態の不明瞭なこれらの言葉に国家官僚は振り回されている。身についた官僚主義が、意味不明、目的不明、文脈バラバラの各種ガイドライン、防災マニアルを作り出している実情がある──
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/content/001732949.pdf
上記リンクは国土交通省の ●「津波防災地域づくり 推進計画作成ガイドライン」(2024.3)の内容である。最新の地域防災計画作成のためのガイドラインとして「津波防災地域づくりに関する法律」に則り地方自治体の防災担当者を主なターゲットとして発表した。
経過)国土交通大臣が平成23年5月18日「津波防災地域づくりについての一定の方向性を提示するよう」要請。外郭「計画部会」が同年7月6日緊急提言「津波防災まちづくりの考え方」を提出。平成23年12月「津波防災地域づくりに関する法律」が成立。以降、国が定める法律、ガイドライン、マニアル等の下敷きになっている。即ち、国の基本姿勢としては─○ 今回のような想定を超える大規模な災害を想定し「なんとしても人命を守る」という考え方により、ハード・ソフト 施策を総動員して「減災」を目指す。※「減災」とは、人命を守りつつ、被害をできる限り軽減すること。──としている。法律自体がすでに相当古くなっているものだ。
他に国には下記のような各省庁発信の津波防災ガイドライン等がある。
● 「地区防災計画ガイドライン」(2014年 内閣府)
●「津波防災地域づくり推進計画作成ガイドライン(第2版)」(2018年 国土交通省)
地方の、地区の防災計画を支援するためのガイドラインであるがその実態は冒頭のガイドラインと同様に意味不明、目的が紛れてしまうような複雑さに過ぎ、冗漫さに過ぎている。「津波防災地域づくりに関する法律」などの法律との整合性に汲々と物差しを当てて作られているからである。
国家官僚が精魂を込めて書き出したとはいえ実用性の乏しい机上の作文のそしりはまぬがれない。まさしく地方の、地区の現地ニーズとの対話的整合性は後回しで、現地民の納得する合理性もなく、救命のための実用性も希薄な、上から目線の官僚主義と言わざるを得ない。
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