白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

安楽死

2017-01-20 17:45:50 | 思うこと
友達の御主人がつい先日お亡くなりになった。
48歳。
中学生と小学生の娘さんが二人いる。

子供を置いて、家族を残して逝くなんて、どんなに無念で、どんなに心残りで、どんなに悲しかったことか。

大学教授で大変威厳のある方だった。

癌が発見されたのは11月の終わり、たったの6週間前。

実は彼が選んだ道は安楽死だった。
私は知らなかったけど、カリフォルニアでは安楽死は法的に認められているらしい。

余命6ヶ月以内と宣告された患者さんには、安楽死を選択する権利がある。

カウンセリングを受けて、本人が正常な精神状態の上で判断していると認められた場合、安楽死の薬が貰える。

薬は自分で開けて自分で飲まなくてはならない。
誰かが手伝ってあげてはいけない決まりになっている。

もう1度考える時間を与えるためか、なんと90個のカプセルを一つ一つ開けなくてはならないらしい。

彼は、もうダメだとわかってから、急ぐようにこの決断を決行した。

早くしないと、自分で飲むことが出来なくなる。
そうなったら、安楽死の選択肢は消える、そう思ったのだろう。

両親と妻と2人の娘達に見守られながら、その薬を飲み、眠るように安らかな最後だったそうだ。

きっと涙涙のお別れだったんだと思う。
一人一人手を取って、伝えたいことを全部伝えてのお別れだったんだと思う。
想像しただけで涙が出てくる。

でも、なんて素晴らしい死に方なんだと思ってしまう。

この日の数日前に奥様にあった時、彼に意識はあるのかと聞いた。その時の答えは

「意識も何も、相変わらず私よりシャープだよ。」

すごく頭のいい人だった。
きっと、薬を飲んだ日も、朦朧となんてしてなかったんだと思う。

誰にも迷惑をかけず、威厳を保ったまま、自分の意志と判断で、この選択肢を選んだんだと思う。

私が余命数カ月と宣告された時、そんな精神力があるかどうかわからないけど、寝たきりになって死ぬより、まだ意識がはっきりしている時に最愛の家族にお別れを言って逝きたい。

日本でも、自殺原因の第一位は病気だという。
安楽死が合法ではないから、自殺という形をとるしかない。

家族に隠れて1人で決行するしかない。

そういう風に考えると 、安楽死って言葉を変えれば尊厳死なんじゃないか。

人として生きる権利があれば、死に方を選ぶ権利があってもいい気がする。

彼の死は、私に色んなことを考えさせるものだった。
ご冥福をお祈りする。

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