白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

長男の恋

2017-01-28 13:54:42 | 子供
次男は小さい時からガールフレンドが常にいるけど、長男は女の子の話を全くしない。

小さい時は本当に興味がなかったんだと思う。

でも、彼ももうすぐ13歳。
思春期に入る年頃。

まだ声変わりもしてなくて、全然お子ちゃまだけど、異性への興味は持ち始めている。

「好きな女の子いないの~~~?」

ちょっとからかうように聞く母親。

「好きとかじゃないけど、お気に入りの友達ならいるよ。」

偉そうに、好きとかじゃないんだって。

今まではそのお気に入りの女の子はいつも白人ブロンドだった。
なぁ~んだお前、金髪がすきなんか?

母としてはあまり面白くない。


それが、去年の秋ごろ、ある女の子のお家でのホームパーティーに呼ばれてから、気になる子ができた。
なんと、なんとなんと、日本人の女の子。仮名ハナちゃん

しかも純血日本人。
雑種じゃありません。

日系人でもない。
日本生まれの本当の日本人。

「おー、ありがたや~、ありがたや~」っと拝んでいる私。

ただ・・・、両親は白人アメリカ人。
どういうことかというと、
養女なんです。

両親が仕事で日本に4年ほど住んでいたそうです。
それで日本が大好きになって、
日本人の子供を2人養子にしたというのです。

ハナちゃんと弟の太郎君(仮名)

赤ちゃんの時にこの両親に引き取られたので、日本語はできません。
でも、親はハナちゃんと太郎君が日本人であることをとても大切に思ってくれているらしい。
それで、日本語のお勉強をしている。

アメリカでは、必須外国語というものがない。
外国語は必須だけど、外国語ならなんでも良い場合が多い。
長男の学校ではスペイン語と中国語のクラスが用意されているから、ほとんどみんなその二つから選択してうけるんだけど、違う言語でも問題はない。

ハナちゃんの場合、親が日本語を勉強してほしいと願っており、これまた親が金持ちなので、個人的に雇った日本語の先生が学校にやってきて、別室でハナちゃんだけ日本語をやっている。

日本人といえども、日本語はできません。
平仮名から習っているらしい。


それで、ちょっと提案してみた。

「ハナちゃんに、日本語教えてあげるよって言ってみたら?」

まさか本当に言うとは思ってなかった。
そしたら、数日後、

「ハナちゃんに日本語を教えることになったんだ。」

え?
ほんと?

やるじゃん!

「でも、どこで教えようか?」

「そりゃ~図書館でしょ。中学生は図書館で健全なデートをするのさ。」

冷やかす母。

「いいね、いいね、いいねぇ~。若いっていいねぇ~。教えるってのがまたいい。男は教えられるより、教える方がいい。マー君、やるじゃん!」

一番喜んでいるのは、私。

長男は、スポーツもできないし、
何をするにも間抜けで、どんくさくて、これじゃ女の子にはもてないよ~っと心配していました。

これは長男にとって大きな大きな第一歩。

手に入れろよ!
純血日本人なんてそんな貴重な女の子はめったにいないからな。
逃がすなよ!





安楽死

2017-01-20 17:45:50 | 思うこと
友達の御主人がつい先日お亡くなりになった。
48歳。
中学生と小学生の娘さんが二人いる。

子供を置いて、家族を残して逝くなんて、どんなに無念で、どんなに心残りで、どんなに悲しかったことか。

大学教授で大変威厳のある方だった。

癌が発見されたのは11月の終わり、たったの6週間前。

実は彼が選んだ道は安楽死だった。
私は知らなかったけど、カリフォルニアでは安楽死は法的に認められているらしい。

余命6ヶ月以内と宣告された患者さんには、安楽死を選択する権利がある。

カウンセリングを受けて、本人が正常な精神状態の上で判断していると認められた場合、安楽死の薬が貰える。

薬は自分で開けて自分で飲まなくてはならない。
誰かが手伝ってあげてはいけない決まりになっている。

もう1度考える時間を与えるためか、なんと90個のカプセルを一つ一つ開けなくてはならないらしい。

彼は、もうダメだとわかってから、急ぐようにこの決断を決行した。

早くしないと、自分で飲むことが出来なくなる。
そうなったら、安楽死の選択肢は消える、そう思ったのだろう。

両親と妻と2人の娘達に見守られながら、その薬を飲み、眠るように安らかな最後だったそうだ。

きっと涙涙のお別れだったんだと思う。
一人一人手を取って、伝えたいことを全部伝えてのお別れだったんだと思う。
想像しただけで涙が出てくる。

でも、なんて素晴らしい死に方なんだと思ってしまう。

この日の数日前に奥様にあった時、彼に意識はあるのかと聞いた。その時の答えは

「意識も何も、相変わらず私よりシャープだよ。」

すごく頭のいい人だった。
きっと、薬を飲んだ日も、朦朧となんてしてなかったんだと思う。

誰にも迷惑をかけず、威厳を保ったまま、自分の意志と判断で、この選択肢を選んだんだと思う。

私が余命数カ月と宣告された時、そんな精神力があるかどうかわからないけど、寝たきりになって死ぬより、まだ意識がはっきりしている時に最愛の家族にお別れを言って逝きたい。

日本でも、自殺原因の第一位は病気だという。
安楽死が合法ではないから、自殺という形をとるしかない。

家族に隠れて1人で決行するしかない。

そういう風に考えると 、安楽死って言葉を変えれば尊厳死なんじゃないか。

人として生きる権利があれば、死に方を選ぶ権利があってもいい気がする。

彼の死は、私に色んなことを考えさせるものだった。
ご冥福をお祈りする。

競技数学

2017-01-13 07:15:03 | 子供
アメリカ人の数学のレベルは一般的にはかなり低いのは有名。

長男は小学校の時はダントツトップだった。

「この子ってもしかして将来有望?」

スタンフォードでもハーバードでも東大にでも行けるんじゃないかなんて錯覚を抱いたもんだ。

井の中の蛙とはまさにこのことを言うのでしょう。

それで中学からは理数系に強い私立の学校にいれた。
年間の学費24,000ドル。←しつこい?


スポーツが苦手な長男は、競技数学のチームに入った。

そこで見えてきた二層社会の上の層。

この国恐ろしい。
天才がウヨウヨいる。

考えてみたらそうだよね。
ノーベル賞受賞者の数を見ても、新テクノロジーの発明発見にしても、アメリカは他を圧倒している。

この国には世界中から集まった天才たちがいる。
そしてその子供たちがいる。




先日全米一斉に受ける、テスト形式の大会がった。

「7年生の中で何番だった?」

同じチームの中での話ね。
8年生はおいておこう。
そして6年生には負けてないという前提。
中学は6, 7, 8年生。

「5番」
っと長男。
メンバーが7人しかいない中の5番。

「え?誰に負けたの?」

「えーっと、ニックでしょ」

「あー、あいつか、父ちゃんがUCバークレーの数学の教授ね。そりゃ無理だ、勝てん。」

「アロンでしょ」

「アロンの父ちゃんは確か外科医だったよね、うーん、ごめん彼の方が遺伝子が良さそうだ、負けてもしゃーない。」

「ジェイソンも僕より良かった」

「あー、あのチャイニーズの子ね。あそこは親の気合が違うからなー、ママが負けてるわ。」

「そしてもちろんトップは」

「サムくんね。」

「そう。」

このサムくんちゅーのがすごく出来る子でダントツトップ。

例えば50点満点の大会なら7年生なら20点~30点くらいの競い合いになる。
もちろんみんな数学が得意な子達。

そんな中で40点以上とるんだから、なかなかやるもんだ。

それが、ちっともガリガリやってそうにないところが小憎たらしい。
(いや、すごくいい子で長男と仲良しなので誤解のないように)

親も全然やる気がないと来ている。

「迎えにいく時間が妹と合わなくなるから、数学クラブやめてくれなーい」

なんていう親で、サムくんは出たり入ったり。

先生に連れ戻されてイヤイヤいる感じ。

サム君にはどんなに頑張っても勝てないと思う。

でも、でも、でも、サンノゼの方の学校なんて満点者を何人も出す学校がいくつもある。サンノゼ以外では、やはりニューヨーク近辺にトップ校が多い。

サンノゼには、世界中の理系の頭脳が集まってんだから、不思議ではないけど、その世界にわが子も...っと思うと厚くて高い壁を感じる。

なんだかすごく私達って一般人だなーと思う。
一般人が背伸びしてるなーて。

まー、それでもいいでしょ。
背伸びして届く所に、できるだけ高いところに送ってあげたいと思う。
それが親というもの。

$24000頑張って稼ぎます。

ips細胞による網膜移植1

2017-01-11 17:47:30 | RP
久しぶりに良いニュース。

朝日新聞より1/11/2017

iPS細胞から作った視細胞を失明したマウスの目に移植し、実際に光を感じさせることに理化学研究所の万代道子・副プロジェクトリーダーらが成功した。失明につながる難病の治療を目指し、2年以内に臨床研究を申請する計画だ。

 米科学誌ステムセルリポーツに11日発表する。光は網膜の中の視細胞が感じ取り、脳につながる神経に信号を送る。視細胞は、信号を脳に伝える神経の層と、これらの活動を支える色素上皮細胞の層に挟まれ、体内で新たに作られないため、病気で壊れると視力を失う。

 グループは、理研の笹井芳樹氏(故人)らが開発した、網膜を試験管内で作り出す技術を応用し、マウスのiPS細胞から未熟な状態の視細胞を作製。視細胞を失ったマウスに移植すると、目の中で成熟して正常な視細胞のようになることを突き止めていた。

 今回、移植から1カ月以上たったマウスの目から網膜を取り出して調べると、視細胞が移植先の神経とつながり、光をあてると信号が流れることを確認。マウスの行動テストでも、約4割が光に反応することがわかった。

 グループは次の段階として、ヒトのiPS細胞から作った視細胞の効果や安全性を動物で確認できれば、遺伝が原因で視細胞が壊れる網膜色素変性の患者で臨床研究を始める。万代さんは「移植がうまくいけば、病気の進行を遅らせたり、視力を部分的に回復させたりできる可能性がある」と話す。網膜色素変性は国内に約3万人の患者がいるとみられる。根治治療がなく、カメラで得た情報で神経を刺激する人工網膜や遺伝子治療が試みられている。

 理研では、色素上皮が傷ついて物が見えづらくなる加齢黄斑変性の患者にiPS細胞から作った色素上皮を移植する臨床研究に着手し、2014年に世界初の手術に成功している。(阿部彰芳)


このニュースは嬉しくてうれしくて、何度も何度も読んだよ。
技術的に可能になれば、近い将来治療も夢じゃない。



三男はモテる

2017-01-09 08:45:19 | 子供
食卓での会話。

「今日学校で何があった?」

「ガールフレンドができた。」
っと三男。

え?また?

「またできたの? 名前は?」

「エバちゃん」

「ジアーダとモレーナとゾウイーはどうなったの?」

「うん、好きだよ。みんなまだ僕のガールフレンドだよ。」

そんなわけねーだろ、浮気やろうだな。

「タイくん、女の子もタイくんのことが好きなの?」

「ママ、ガールフレンドって言うのはね、僕も好きで女の子も僕のことを好きっていう意味だよ。そうじゃないとただのフレンドでガールフレンドとは言わないんだよ。」

アホな質問をするなっということですね。
はい、すみません。

三男の話は満更嘘でもなさそうだ。

っというのも、先日モレーナとジアーダのお母さんにあった時のこと

「タイセイ君と同じクラスになれるかどうかすごく気にしてたんですよ。同じクラスになれて大喜びでした。」

まー、モテないよりモテるほうが良いけど女の子を泣かすなよタイくん。


将来スポーツカーに乗ってナンパしたりするのかしら。

飛行機どこ?

2017-01-06 22:49:47 | RP
South San Franciscoの山にハイキングに行った。

ここからはサンフランシスコや、海が一望に見渡せる。
木々がない裸山なので、眺めは抜群。



サンフランシスコの空港が近いため、次から次へと飛行機が離着陸する。

子供たちは飽きもせず
「飛行機だー。」
っと指を指す。

ただ長男はなかなか飛行機を見つけられない。

「え、どこどこ?」

っとキョロキョロ。

空を見上げれば誰だってすぐに見つけられる。
見つけるも何も、目の前を轟音をあげて飛んでいく飛行機、嫌でも目に入る。
それが長男は指を指してあげても見つけられない。
すぐ横に立って、長男の目線から指さしてあげても、すぐには見つけられない。

やっと見つけたら
「わー、こんなに近くにー。でっかーい!」
なんて言っている。

「そうだよ、こんなに近くて大きいのになんで見つけられないの?」

っと聞くと

「指さす方角が高すぎたんだよ」
っと文句を言っている。

もちろんこれは、長男の視野が狭いから起こることなんだけど、ここまでひどいと思っていなかったものだから、ショックでショックで。。。

一体どんな視野で世の中を見ているんだろう?

治療法はまだできないのか?

便利な耳

2017-01-04 17:06:24 | 難聴・手話
子供の耳が聞こえていないと知った時のショックは、それはそれは言葉に表せないほどのものだった。

毎日泣いて過ごしたのを覚えている。

でも今は、この難聴なかなか気に入っている。
っというか羨ましい。

そりゃもちろん苦労はあると思います。

いくら聞き返してもどうしても聞き取れないことも、よくあるみたいだし。

でも、便利なことも多い。


我が家はうるさい。
そして狭い。

勉強部屋も机もありません。

みんなダイニングテーブルでお勉強。

長男が宿題をしているすぐ横で、下の2人はチャンバラごっこしてるし 、

笑い声も多いけど、鳴き声怒鳴り声も絶え間ない。

来る人来る人みんな、あまりの騒々しさに唖然とする。

夫も私もイライラして怒鳴っちゃう。

「あー、お願い。ちょっとでいいから静かにしておくれ。」

そんな中、次男と三男が喧嘩を始めたり、三男が駄々をこねて泣き出したりすると、カチッと補聴器のスイッチを切ってしらーん顔をしている長男。

いくら呼んでも返事をしなかったりして、本当に腹が立つ。

くっそー、なんて便利な耳なんだ。

補聴器なんてスイッチを切れば完璧な耳栓。

すぐ横でどんな修羅場が繰り広げられていようとも、自分だけの静かな空間で平和に本を読んでいる長男。

時には昼寝なんかして、どんなに怒鳴っても起きやしない。

これを特権と言わずになんと言いましょう。

私もスイッチを切れる耳が欲しい。




男の家事

2017-01-04 06:46:47 | 家族
私が仕事で忙しくなると、必然的に家事は家族で分担することになる。

男4人、イヤイヤながらやる家事は適当。

三男がしょっちゅうダブダブのシャツをスカートのように着ている。

「あれ、またタイくんのシャツを着てんじゃない?」

「ダディーが着せたんだよ。」

「もーダディーったらー」

「え?そう? でも、カイユーの引き出しにはいってたぞ。」

洗濯物を片付けるのは長男の仕事。

何日も放ったらかしで、山のように溜まってからやっと片付けたと思ったら、入れる場所は適当。

でもさ、手に取ったらその時点で次男のシャツか三男のシャツかくらいわかるでしょう。

例えその時点でわからなくても、着せたらわかるでしょう。

あーもー。ドイツもコイツも。。。