どんこの空(そら)に 。

きっと何かが足りない~それを探す日記~

見上げれば、空。

2007-09-28 | Sandstorm

砂の大地。
砂塵舞う、風の舞台。
そこに、馬がいて。
そして、人がいて。
見上げれば、空。
そして、太陽。


勝つために、馬はそこにいる。
勝つために、人はそこにいる。


目には見えないけれど、
喜びも悲しみも悔しさも怒りも、
たぶんきっと、そこにはあるのだろう。
そして、それを見つめる人がいる。


馬は、何のために走る?
なぜ誰よりも速く走ろうとする?
それは、それが生まれながらの宿命だから。
そして、その役目を終えた馬たちは、
静かにその場所から去っていく。
どこへ行くのか、これから何のために生きるのか?
私にはわからない。
それが、幸せなことなのかすらも。
お疲れさま。
どこかの誰かが言った。


人は、何のために馬に乗る?
なぜ誰よりも強く輝こうとする?
それは、それが生きていくことの意味だから。
その命を風に乗せ、馬に預け、技を練り、力を振り絞る。
そして、ただ待ち焦がれる。
自らが最高に輝く瞬間を。
時に危険な生業だ。
時に悲しいのはなぜだろう?
私にはわからない。
それが、どこから呼び起こされる感情なのかも。
ばかやろう。
心ない、どこかの誰かが言った。


勝つために、馬はそこにいる。
勝つために、人はそこにいる。


もしそんなとき、ただ勝つために、
誰かの心や、
誰かの体や、
誰かの大切なものが、
取り返しがつかないほどに傷んだとしたら、
人はどんな感情に駆られるのだろう?


砂の大地は、人が輝こうとする営みを責めるのだろうか?
風の舞台は、人が勝とうとする欲望を責めるのだろうか?
刹那の瞬間には、
いたるところで、
天使も悪魔もあらわれる。
人が人を裁くことはできない。
全ては、罪が人を裁くものだ。


もしかしたら、
そこで起こりうる全ての事象を超越したところに、
馬頭観音様は、おられるのかも知れない。
人が否定しようもない、その心の悪魔を見つめながら。
既にどうしようもない、その過ぎてしまった事実を見つめながら。


勝つために、馬はそこにいる。
勝つために、人はそこにいる。


だから、そこでは誰もがただ、祈る。
”この刹那に、皆、健やかに、そして無事であれ。”と。


色即是空。
空即是色。
そこに、馬がいて。
そして、人がいて。
見上げれば、空。
そして、太陽。


さようなら。
心ない、どこかの誰かが言った。


私は、思う。
まだ、全ては終わってはいない。
私は、信じる。
もしかしたらまだ、何も始まってはいない。
見上げれば、空。
そこに空があるのだから。










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