どんこの空(そら)に 。

きっと何かが足りない~それを探す日記~

正義が勝つとは限らない。

2010-07-04 | Sandstorm



サッカーワールドカップ準々決勝のウルグアイとガーナの一戦は、最後まで手に汗握る戦いだった。
1対1の同点で、15分ハーフの延長へ。
そして延長後半ロスタイム、ガーナが最後のチャンスを作った。
立て続けに3本のシュート。
奇跡的にウルグアイの選手がゴールを防いでいたものの、ついに最後の1本はゴールへ・・・と思った瞬間。。。
なんと、ゴール前にいたウルグアイのスアレス選手が、両手を使ってボールを弾き出した。
VTRを見てみると明らかに、故意。
もちろんレッドカード。
即退場。
まあ偶然だろうと何だろうと、レッドカードに違いはないのだが。
とはいえ、ウルグアイにしたら、そこでガーナに得点を与えたら負けは確実の時間帯。
反則だろうと何が何でも・・・というところだろう。





貴重な決勝点を損したガーナ。
しかしPKをもらった。
たぶんそれがラストプレー。
決めれば勝ちだ。
スタンドを埋めたアフリカのサポーターは、勝利を確信していた。
そして今や遅しと、PKを蹴るガーナのジャン選手のキックを待っていた。

が・・・・・。

なんとジャンの蹴ったPKのボールは、バーを叩いて後方のスタンドへ消えていった。
勝ちを確信していたガーナは、そのショックからか、その後のPK合戦にも全く精彩を欠き結局敗退となった。
ウルグアイ勝利。
結果的には、あのウルグアイのスアレス選手のバレーボール並みのレシーブが功を奏したわけだ。
試合自体は面白くて、ウルグアイの執念に感服したりもした。
ただ、何となく釈然としない結果となった。
まさにガーナにとっては、悲劇。
相手のアンフェアな反則によって、訪れるはずの歓喜を奪われたのだから。
これが日本だったら・・・・・、想像に難くない。
話題の映画「告白」の森口先生こと”松たか子”が出てきて、
「FIFAのルールが許しても、私はあなたを許しません。」
・・・なんて言いそうだ。
ガーナにとっては、それくらいの心情だろうか。
「これがサッカー。」
「これがワールドカップ。」
と言ってしまえばそれだけのことだろう。
せめて、ガーナがPKを決めていれば何の問題もなかったはずなのだが。
ラグビーに以前あった「認定トライ」みたいなルールがあれば、あれは完全にガーナの決勝点だった。





ルールの中で、ある意味、懲罰とのバランスを考慮して故意に反則まがいの行為をする。
まさにスポーツマンシップに反するアンフェアな恥ずべき行為だが、それはプロスポーツの中ではよくあることだ。
昔、日本のプロ野球で延長戦の時間制限があった時、策士の監督などがよく時間稼ぎの抗議なんかをしていたのと同じようなものだろう。
精神的な駆け引き。
それも負けられない勝負の作戦のひとつに違いない。
それがまた、手に汗握る見どころだったりする。

ただ、子供には見せたくないね。。。

それはまるで、社会の縮図のよう。
法律のスキマをかいくぐるように、不当に私益を肥やす行為。
決められた刑罰と、自分の私益を天秤にかけて、あえて犯す暴力的行為そのものだ。
被害者は泣くに泣けない。
でも、あえてそれは否定しない。
それが現実だ。
「正義が必ず勝つ。」なんていうのは、ガキの戯言でしかない。
悲しいけれど。
浮世で成功しようと思うならば、それくらいの覚悟は必要なのかも知れない。
「勝つことが全て。」・・・とは誰が言った言葉か。
何が何でも、勝つために手段を選ばない。
それも、あながち間違いではないだろう。
「ほら、サッカー見てればわかるじゃないか。」
笑っているのは、勝ったチームの選手だけだ。





ただ、そのためにできることを最良に行える人、それはやはり知識がある人間だけである。
成功欲だけが強いバカは、はた迷惑甚だしい。
それは、社会もスポーツも同じ。
たとえ一度は許されても、そんな人間はやがては周りの人々から淘汰されてゆくだろう。
それでも、誰もそれを止めることはできない。
それを判別できる人間もまた、いるはずないのだから。
何十億という人間がいて、誰かが誰かの影になる。
一生欲に身を捧げるか。
誇りを持って生きるか。
きっと人は、いつもそのふたつに揺れている。





スアレス選手は次の準決勝は、出場停止だ。
それは当然の報い。
ただ、個人的にはウルグアイに頑張ってもらいたい。
せっかくあの勝ちに対する執念が報われたのだから。
たかがサッカー。
彼は決して悪人ではない。
ルールの中で戦って、ルールの中で罰も受けている。
釈然としなくても、結果という事実はもう変えようもない。
世界中の人は、エキサイティングな”人間”の物語を見たいのだ。
「正義が勝つとは限らない。」
それもまたドラマ。
世界中の人々が、喧々諤々語ればいい。
あのウルグアイの執念を、強敵相手にまた見たいものだ。












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