日本一を決める女子オープン。
予選最終日の二日目、最終組。
最終ホール。
カップをくるりと一周なめて、豊永志帆プロはギリギリ予選を通過した。
ああいうのを見ると、明日は付いてまわりたくなる。
下衆な人間の本能か。
でも人が好きになったり興味を持ったりするのは、いつでもそんなたわいもないことから始まるものだ。
そんな偶然の積み重ねで、今の自分も成り立っているに違いない。
それを、ある人は奇跡と呼びたがる。
ただ私はそうは思わない。
生きている限り、いつかどこかに辿り着くのは必然であるのだから。
もし奇跡と言えるとするならば、偶然を必然にしようとする人の意思が、ちゃんとそこに存在しているかどうかである。
深夜にNHKで女子オープン関連の番組をやっていた。
いくら演出家が盛り上げようとドラマティックに予想を語っても、優勝者は神のみぞ知る。
それは偶然か必然か。
運ばかりを口にする選手もいる。
自らの調子に、始めから結果を委ねてしまう選手もいる。
ただ、誰だって目の前のホールで自らを乗り越えるチャンスはあるはずだ。
それを積み重ねれば、それは大きな奇跡にもなる。
結果はどうあれ、そんな見えない力を出してくれる選手が多いハイレベルな戦いになることを期待したい。
人の意思は見える。
その人をじっと見ていれば。
成功と失敗だけは誰にもわかるものだが、それだけでなくある特定の選手の細かな意思や感情の波動を感じることも、ゴルフを観る醍醐味のひとつである。