闇と光の慈愛のコントラスト(22)
--闇の血を受け継ぐ子--
アンディアの体がブラハブ剣を握ったままマイァシイの前に現れた。
アンディア「なぜ イリスを殺す?」
マイァシイ「うぬには関係ないは
邪魔すると、この剣の餌食(えじき)になるぞ!」
イリス「この子を…」
マイァシイ「そやつはイリノイス様の子を身ごもったのだ」
アンディアの左手が黒く擦れていく。
「そうか 子供を」
アンディアは動揺しなかった。
(確かに女性として生きるのは容易(たやすい)いことではない。)
(何があったか分からぬが)
(そういうことも起こりうる。)
(子供は女性にとつて特別なものだ)
マイァシイはアンディアの胸に剣を突き刺した。
アンディア「う イリス 生きたいか?」
イリス(は い)微かにうなずく。
アンディア「よし 俺の命を受け取れ!」
右手をかざし全身のエネルギを集中した。
「ピカッ」光が放たれる。
光の玉は、イリスの胸にあたり吸い込まれる。
突然、お腹の赤ちゃんが動く。
「パチ」目を見開く赤ちゃん。
そして、イリスは消えた。
全ての力を使い果たしたアンディアは、逆らうのをやめた。
静かに黒い影となって体は闇に溶けていく。
マイァシイ「くそぅ 逃がしたか」
(イリスは死んだと告げるべきか?どう報告すべきか?)
(次元移動かぁ)
(追えぬなぁ)
(逃げたと報告するかぁ しかたない)
月から生まれたイリス。
過って太陽として別の宇宙で輝いていた。
今、再度、命をつないだイリス。
光の長の子でいながら闇の力を受け継いだ命。
つづく 次回(人と神)