会社の社長のところに若い平社員から電子メールが届く。
内容は他愛のないおしゃべりで、その文体は友達感覚で、全く上下関係も地位・役割、立場の違いも忘れた間合で書かれている。「ハァイ!社長さん元気?・・・」と言った感じである。確かに電子メールを使えばこんなことも可能である。しかし、可能だからやって良いという訳ではない。どうしたもんだろう。
社長さんは気さくな方で、気にもしていない。
若い人が電子メールを送ってくれるだけでも有り難いと拒否する気配もないし、拒否したりしたら若者の前向きのコミュニケーションに水を差すことになるし、そんな障壁ができればお互いの絆が切れてしまい、閉ざされてしまうかもしれない。確かにその通りであり、そんな考えもあるだろう。しかし、私は何となく違和感がある。どこかでこの電子メールを使った無礼な行為をやめさせる方策はないものかと密かに思っていた。
そこで、自分の部下達には機会を見つけて忠言している。
前述の例を挙げて、どう思うか、果たして正しいのか、どうすべきか、と問いかけて見る。ほとんどの人が、おかしい、良くない、直すべき、という反応を示す。それでは、良いか悪いかの基準は何だろうとさらに問いかける。明確な答えは返ってこない。そこで、私の考えを述べる。結局は、そのメールの内容を本人を目の前にして堂々と読み上げることができるかに尽きる。いくらネットワークが発達しても結局は個人と個人の直接顔を合わせたコミュニケーションが基本であることを忘れてはならない。
もう一つ困った現象が起こっている。
上司宛に匿名の直訴メールを送ることである。はっきり言うと「チクリや中傷や悪口や醜聞」である。人によってはこんなメールをもらって大騒ぎする人がいる。特に高齢の前世代の人に多くて、この匿名情報を根拠に部下を叱咤し、徹底的に指導する。部下はたまったものではない。こんなメールが多くなると、業務に支障があり、あちこちから対応策について相談がある。みんな困って悩んでいるのである。
そんな相談に私は次のように答えている。
「氏素姓の判らない匿名の情報は一方的に信用してはいけない」と・・・。信用のおける情報は発信者が明確でなければならない。このことを上司にも担当者にも忠言すると、皆さん目からうろこが落ちたように冷静さを取り戻す。匿名情報は一つのきっかけで、これを受け入れるつもりなら必ず自ら信用性の確認をしなければならない。頭から鵜呑みにすることは大いなる間違いの始まりである。世の中にはそんな信用できない情報が溢れかえっている。そんな情報が世間の常識ある冷静さを麻痺させて狂わせている。
若い人にその被害が及んでいる。
匿名の情報に対しては自分で取捨選択しなければならないし、拒否するのも受け取るのも個人の自由である。自分に都合の良いものだけを受け取っても何も問題ない。最終的には全てを無視しても良い。そのことを教えてやるべきである。そうすれば得体の知れない匿名情報に振り回されることもない。ネットを使ったイジメ事件が起きているが、みんながこの考え方をすればイジメが無節操に広がることもないし、苛める側も苛められる側も冷静な対応ができると思う。
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