オクトシティー正直村

おかしいな?変だな?と思った事を綴った駄文

既成事実の作り方

2007年05月11日 | Weblog

例えば、ひとつの部署では判断できない決定事項があったとき、

 関係する部署に合議をまわして意見を提出させる。この返ってきた意見に基づいて決定する。そうすると、ひとつの部署だけで決定したわけでなく、関係部署全体で決定した結論となる。もうこうなるとこの時点で結論をひっくり返すことはできない。つぶさに観察してみると、関係部署間で積極的に討議することと合議をまわすこととは別であり、形式的に合議をまわしただけでは論議を尽くすことはできない。しかし、合議がなされれば結果としては同じ効力をもつ。この合議を既成事実として動かぬ結論を作り出すことになる。官僚のよくやる手法である。

あらかじめ計画を決めて、計画通り実施する手法もよく使われる。

 計画の段階では、まだ具体的ではなく、直接実行されるわけではないので合議を取りやすい。しかし、いったん計画が決まると、その計画が至上のものとなり強制力を持たせて強引に推し進めるための根拠となる。計画は計画であり決定ではないが、計画を変更する理由がなければ計画通り実施することになんの躊躇いもない。反対に変更の理由が出現するとこれを排除しようと躍起になる。計画を変更した行為の結果は自分達の責任になるが、計画通り実行することは自分達の責任ではない。計画を作った人の責任である。しかし、計画を作った人はすでに担当部署にはいないのが常である。誰も責任を取る人がいない。

手続きを定めて、手続き通りに事を運ぶことにより強引に推進する手法もよく使われる。

 例えば、公聴会とか聴聞会とか説明会とか公示とかである。回数を経るごとに既成事実として定着しいつのまにか動かせない決定事項を生み出す。本当に賛同を得たのか、話し合いがなされたのか、問題があるのかないのか、関係者は理解し納得しているのかなどお構いなしでセレモニーと化している。これに異議を唱えようとしても、これまでの手続きの経緯を説明して既成事実を突きつけて受け入れようとしない。もしくは「すでにここまで進んで手遅れなんです」と言って逆に説得させられる。しかし、本質であるところの問題点については通常触れられないもしくは避けて事業が推進されることになる。

何もないところから既成事実は作られる。

 最初に作られる既成事実は一人の担当者案である。それが徐々に関係部署に広がって上位組織でオーソライズされてゆく。本来であればこの時点で十分に吟味され検討されなければならないし、この時点で多くの人の意見を聞く討議のプロセスを踏まなければならないと思う。まずはこの時点での情報公開であろう。これまではこの時点では官僚だけの承知事項で一般大衆に報されることはなく、気が付いたときにはすでに既成事実がしっかりと築かれて動かし難いものへと発展しているような場面をあちこちで見ることができた。しっかりと情報公開がなされればこんなこともなくなるだろうと期待している。

既成事実をひっくり返す方法がある。

 掌を返したように黒を白と言うこともできる。「これまでとは状況が変わったんです」と言えばいい。しかし、「状況」を判断するのは我々一般大衆ではなく官僚なのである。よってこの方法も官僚の都合のいいように使われる。変えたくない場合は既成事実を持ち出して、変えたい場合は状況の変化を持ち出すのである。こんな便利なものはない。それぞれの官僚の思い通りに事が運ぶことになる。それぞれの官僚の思い通りに事を運ばせていると総体としてはゴッチャゴチャの訳の解らないものになる。現在の日本の政治がまさにその通りではなかろうか。多種多様なやり方があるのを否定するわけではないが、少なくとも善悪の判断基準だけはしっかりと堅持してもらいたいものである。

この頃、インターネットが既成事実作成の道具になっている。

 いろいろな施策についてホームページを開設して一般大衆の意見を募ると言う趣向である。私が危惧するのは、この事実をもって一般大衆の意見を十分聞くことができ一般大衆は十分納得し了解したと勝手に判断されては困るということである。ひとつのセレモニーにしてもらっては困るのである。たぶん、官僚はこの事実をもって一般大衆への説得材料にするつもりであろうが、インターネットを使って意見を聞くのと、本質的な問題点について話し合うのとは別のものである。官僚と一般大衆は対立概念ではなく、一般大衆を代表して官僚が仕事をしているのである。「一般大衆が文句を言わないなら問題ない」という判断は代表としての責任を果たしているとは思えない。何か肝心なところがポッカリと抜けているような気がする。

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