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組織を見直す時よく使われる言葉である。
日本のリーダーの方々はこの言葉が大好きなようで、よく使っている。しかし、その意味は「一旦すべてをぶち壊して最初から作り直す」と言っているように聞こえる。確かに機能しなくなったものはすべて廃止して最初から作り直した方がいいが、何故機能しなくなるまで放置していたんだろう?という疑問が湧くし放置していた責任者は誰だろうと思ってしまう。
本来の「スクラップアンドビルド」は意味が違う。
新しい組織を作る時、旧来の同等の組織を潰して、その代わりに新しい組織を作ることで、結局は全体的な組織が膨張しないためのひとつの方式である。すべてをぶっ潰すことでもないし、また新しく作り直すことでもない。より良く機能するための一部改善である。自然界の作法は基本的に「スクラップアンドビルド」であり、これを模倣した方式とも言える。
日本の場合、組織は膨張し続ける。
そして、膨張しきったところで破綻してしまう。組織の膨張を止めることができないし、膨張することが繁栄だと勘違いしている。政府の組織にしたって、改善するたびに膨張し、問題が起こるたびに新しい組織が作られて行く。誰かがつぶやいた「小さな政府」はどこか片隅に追いやられているようである。
改善するためには、機能していない組織はなくすべきである。
問題が起こると、本来の機能を果たしていないことが白日の下にさらされるが、誰も深刻に考えていないし、他人事のような口ぶりで責任さえ感じていない。こんな組織は潰すべきである。潰されないと安心しているので機能していないことに対し何の責任も感じないのだと思う。そういう長い歴史がこんな体質を作り上げたのだろう。
すべてを潰せとは言わない。
せめて継続的に組織の活性化と見直しをやるべきなのである。機能していない状態を放置してはいけない。環境が変われば変わった部分は見直さなければならないし、古い部分は新しく作り替えなければ組織が腐ってしまう。当然新旧の世代交替も円滑に行わなければならないし、有望な後輩を育てて行かなければならない。そんな考えはこれぽっちもない。
優秀な人材も担当正面の経験と知識がなければ役に立たない。
その経験と知識を教えるのは現在の担当者である。優秀な人材さえそろえればあとはお任せという訳には行かないし、そんな無責任な話はない。責任をもって職務を遂行できるのは豊富な経験と知識をもっているからである。何か事件が起こると部外の有識者に相談するようでは組織は腐っているとしか言いようがない。
新しい組織を作ったら即座に機能すると思うのも妄想である。
運営が軌道に乗り安定するまでには少なくとも2から3年、最小でも1年は必要である。なにせ、最初から作り上げるのである。だから、最初からなんでも作り直すのは極めて効率が悪いのが判る。少なくとも問題のある一部の改善であり、そのための「スクラップアンドビルド」であると思う。それよりも常時機能するように細かい改善を地道に継続して実行していることの方が重要である。どうもその意識が欠落している。
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