新型コロナウィルス騒動（その２）

新型コロナウィルスが世界的に拡散している。

　各国の対応を見ていて、リーダーの能力が如実に表れている気がする。そして、その能力とは自分なりの信念を貫いて、科学に基づいた現実的・具体的な対策が実行できるかにかかっているようである。金儲けを考えたり、大衆の人気取りをしたり、選挙の票を気にしたり、困難を避けて現実を見ようとしなかったり、専門分野の意見を無視したり、目先のことしか考えなかったりでは、実効性のある対策からは程遠いし、国民の信任も得られない。

政治をだめにしているのは民主主義、資本主義である。

　民主主義を標榜して国民一人一人がバラバラではまともな政治はできない。これを一つにまとめるのが政治家であり、政治家のリーダーである。これをまとめることができるかどうかが政治家の手腕であり、リーダーシップである。かといって強権を発動して自分の意見を押し通すことは専制政治になってしまう。英知を集めて民衆を納得させることのできる政策を作り上げなければならない。

日本を見ていて、果たしてどうかと問われると心もとない。

　よく、「安全・安心」の言葉が政治の世界に使われている。安全は科学的かつ理論的に効果が実証されている分野で具体的・現実的な対応に基づいて可能になる。安心は心の問題で、人心の感情の表れである。安心のもとは信頼感であり、他者との一体感、共有感であろう。安心だけの情報を与えても人々は心が休まることはない。問題は安全の情報である。安全であるから安心できるのである。そして、安全こそ政治の場で追及べきものなのである。

安全でもないのに安心を説くことは嘘つきか詐欺である。

　安心の言葉は虚偽か空虚なものである。過去の信頼があればある程度の一時的な対応として安心の言葉が通用するが、具体的な安全が得られないと不安は増大し誰も信頼できない信用しない状態に陥ってしまう。この時必要なのはやはり信頼できる安全情報なのである。今国のやることは「大丈夫です」「安心してください」「冷静に行動してください」と声高に叫ぶことではない。安全情報を提供することである。

国がやっていることが全く見えてこない。

　厚生労働省で、新型コロナウィルス感染症対策本部で、クラスター対策班でどんな活動がなされ、その結果どのような対策がなされているのか、必要な情報の提供はなされているのか、国民は全く理解していない。情報共有ができていないのである。「全世帯に布マスクを２枚配布します」「一世帯当たり３０万円の現金給付をします」「非常事態宣言をします」というような最終結果だけが知らされて、目的も理由も経緯も具体的な内容も知らされることなく突っ走っている感じである。

たぶん、担当者や現場は一生懸命頑張っているのだろう。

　だったら、その状況を国民に知らせるべきである。それが安心情報になる。国は多少の情報操作はあっても、安心情報、不安情報含めて務めて情報発信すべきである。そうすれば国民は安心できるし、妄想による不安を取り除くことができる。夢物語の安心だけではだれも信用しない。現実に新型コロナ禍が発生しているのである。不安情報が皆無なわけではない。そうであれば正確な不安情報を発出すべきである。そうすれば国民はどこまで不安なのかを判断できる。

政府はすぐに国民に対する救済策を打ち出す。

　今は救済ではないはずである。新型コロナ禍に敢然と戦っている人達を支援すべきだと思う。少なくともその実態を明らかにして賞賛と激励と感謝の意を示して全面的に支援すべきである。具体的には医療・衛生関係者であり、生産・製造、流通・販売、金融など人々の生活に必須の分野で感染の危険を顧みず活動している人達を支援すべきである。具体的には感染予防対策と優遇措置や特別手当である。経済機能が破綻したら国民生活は困窮し生活を維持できない。

救済策は正義の味方、弱者の味方でカッコはいいが、

　政策とすべきは、安全対策であり、安心政策ではない。安心政策では新型コロナ禍を克服することはできない。考え違いをしないようにしたいものである。今はどうしたら安全を確保できるかを考えなければならない。安全はウィルス感染防止だけではない。国民の生活を安全にすることなのである。新型コロナ禍の中でいかに国民生活を安定させ、最低限であっても暮らしていける環境を維持することだと思う。今現在は国民生活に不要不急のものは切り捨ててもいいはずであり、国民は短期であれば工夫して乗り越えるはずである。大いに期待する。