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手元に自殺予防マニュアルがある。
結論から言うと、自殺願望の人間は精神的な病に冒されており、普通の一般人では手に負えない。兆候を見つけたら速やかに専門家に任せなさい。その際、勝手な素人判断で決めつけないで、おかしいと思った兆候を見逃さないように報告しなさい。ということであるらしい。
私の周りには「おかしい?」と思える人がたくさんいる。
どうしたものだろう。これを常人の異常行動か、病人の異常行動か見分けるのは難しい。常人の異常行動であれば忠言して正さなければならないが、病人の異常行動は医者に任せるしかない。そして、そこの判断は常人か病人かを区別することであり、病人と判断した時点で常人として扱わない分岐点でもある。安易に病人扱いはできない。
常人か病人かの判断はその人の過去をよく知らないとできない。
しかし、通常は他人の過去をあれこれ詮索する人は少ないし、そんなことをすると嫌われる。同居の家族や旧知の知人であれば気づくかもしれないが、徐々に変化して行く兆候を見つけるのは反対に難しいかもしれないし、肉親や知人が精神的な病気だと思うことには抵抗があるし、この事実を否定する方向で判断してしまう。
と言うことで、通常は自殺の兆候は見過ごされ無視されてしまう。
自殺した後の結果論として精神科の医師が分析して教訓事項を導き出す。たぶん、専門の精神科医であっても自殺する前に常人か病人かを区分できないだろう。「おかしい」と判断された人が受診してきても本当におかしいかどうか判らないのが実態であろう。だからといって、なんでもかんでも「おかしい」と思ったら病人扱いするのも考えものであるし、病人扱いされた人もたまらない。
舌を出しているアインシュタインがいる。
間抜な表情だと思うだろうが、思いっきり舌を出す動作は脳を活性化させる。アインシュタインはそれを知っていてその目的のためにこのような表情をしている。凡人にはそのことが分からずに「変な人」と思う。身体障害者が顔をゆがめて何かを訴えようとしている。この表情は脳を活性化させて脳と身体を調和させる動作である。嘘だと思ったら一度試してみたらいい。健常人でも絶大な効果がある。私はいつも鏡を前にして、思いっきり舌を出したり、顔をゆがめてヒョットコの動作をしたり、思いっきり「あぁ」「いぃ」「うぅ」「えぇ」「おぉ」の表情をしたり、「いやだ」「酸っぱい」「あかんべぇ」をしたりするととても気持ちいい。私はどんな人でもそれなりに尊敬できると思うし、それなりに教わるものがある。そんな気構えで全ての人と接している。
昔脳の手術をした人が先輩にいた。
必要以上に明るく陽気に振る舞っていた。そして、周囲の人はそれを脳手術の影響だと思っていた。その人は以前は優秀で頭のいい人で、私には術後も昔も変わらないように思えた。そして、ある時その人はポツンと「脳手術の後は何を言っても周囲がみんな信用してくれないんだよ」「明るく陽気な振りをしているとみんな納得してくれる」と漏らした。彼は脳手術後も正常な思考をしていたが周囲が信用してくれなかったのである。
いろいろな葛藤があって、彼は脳手術後の人間を演じた。
周囲が先入観からそれを期待し、正常な振る舞いをおかしいと疑問視し信用しないのである。いくら説明しても納得してもらえないし、説明すればするほど疑いが大きくなる。結局は必要以上に明るく陽気に振る舞って期待に応えるしかない。考え方によってはとんでもない悲劇である。間違っていると確信された人が懸命に主張することは絶対間違いであるという確信を強めるだけである。
そんなことを考えると、
果たして一般人が自分の隣人に対して安易に病人だと判断して良いのか不安になるし、そんなことしてはいけないと思う。一般人はどんなことがあっても隣人に対して誠意を尽くすしかない。そしてどうしようもなくなった一手段として精神科医に相談するのだろう。そして病人だと判定するのは専門家の精神科医である。我々一般人が反省すべきは隣人に対して誠意を尽くしていないことである。そんな中で自殺者は後を絶たない。
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