５Ｇは冷静に騒ぎましょう。

５Ｇになったら夢の世界が広がるような幻想はやめましょう。

　ただ単に高速大容量の無線通信回線が登場しただけです。この通信回線を使って利用者が何に有効に活用するかが問題であって、すべての人に５Ｇの恩恵が与えられるわけではない。あくまで利用する目的があって、必要性があって、必要な環境が整えられて、必要な設備を準備して、もっと言えば５Ｇに対応したソフトウェアーや機器やコンテンツが揃って初めて利用価値が生じる。

５Ｇだけでは何もできないのである。

　高速大容量の無線通信回線ができただけでは何の意味もない。利用者の待ち時間が短縮できるだけのメリットでは導入の意味がない。本当の利用価値は将来の大規模なＩＯＴや自動運転や遠隔手術や精密誘導の遠隔操作技術などである。こう考えると我々一般人には日常生活であまりご利益はないし、５Ｇを使った技術が利用可能になるのはまだまだ先の話である。

４Ｇの時も国を挙げて大騒ぎした。

　私としては「そんなに騒いでどうするの」と思って、４Ｇに移行したのは機が熟して利用環境が良くなったしばらくたってからだった。その時でもまだ３Ｇの方が使い勝手が良かったと記憶している。まだ４Ｇの中継器が全国に行き渡ってなかったのである。携帯電話は３Ｇと４Ｇをその電波状況によって切り替えて利用する形態をとっていた。そして、４Ｇにみんなが移行すると、３Ｇの方が空いていて、ベストエフォートは３Ｇに軍配が上がっていた。

利用料金も３Ｇ対応の方が安いのである。

　ところが、ある時点から４Ｇしか扱わなくなって、３Ｇだけの契約はできなくなっていた。機種変更と同時に強制的に４Ｇにされてしまった。利用料金も新規契約は従来の契約よりも高くなっていた。私は昔のままでいいと抵抗してみたが、すでにそんな契約はなくて、新しいタイプの契約に移行せざるを得なかった。なんだか日本の企業の節操のなさを恨んだものである。いい意味で旧態依然も大切にしてもらいたいものである。

もっと地に足の着いた議論を展開してもらいたい。

　企業側としては５Ｇをきっかけに業績の拡大を狙っているのだろうが、我々一般人はこれに扇動させられて無駄な投資をしないように冷静な対応が求められる。一般人の冷静な対応があれば、市場がバブルみたいに膨らんではじけることもない。笛を吹いてもサルが踊らなければいいのである。サルが踊ればお客さんが集まってきて金を落としてくれ、興行主が儲けることになる。

このところの景気の停滞で５Ｇは苦戦している。

　しかし、私にすればこれくらいがちょうどいいと思っている。４Ｋテレビも同じである。必要な人は必要なのかもしれないが、一般人にはあまり必要性を感じない。今までのままで何も不自由していない。贅沢せずにちょっと我慢すれば済む程度である。そこに多くの金をつぎ込む必要もない。そして、機が熟すのを待つのである。その時に取り込んでも遅くはないし、堅実でもある。