○ゼンハイザーHD595で聴いてみる
そういえば、最近あまり出番のないヘッドフォンがゼンハイザーだな。
HD650と世代が近く、音の傾向も比較的似ていると思われるHD595。
装着感はいまだに最高である。
ケーブルが長いこともあり、最近は専ら映像作品視聴用になっている。
久しぶりに聴いてみるか。
ADI-2 DACにつないで聴いてみると、優しい音である。
開放型は音抜けがいい。
もちろんレンジ感、解像感ではATH-A2000Zには及ばないが、古い音源などソース自体がそれほど高音質出ない場合は、そのあたりはあまり気にならず、中域中心の音はボーカルものによく合う。
音色は若干暗めだが、以前の環境より上流を固めてあるので、音色の暗さは以前ほど感じない。
さて、ZEN CAN Signature 6XXで聴いてみる。
すると、これがいいんです。
HD595のネガティブな部分をうまく隠して、音楽が気持ちよく聴ける。
HD6XX用のEQを適用すると、これは違いが分かる。
HD6XX用のEQを適用した方がいい。
ソースのあらを絶妙に押さえ込んで、美味しいところだけ引き出してくれるような感じ。
どちらかというとアキュレートな傾向が強いADI-2 DACに比べると、絶妙なリスニング用の音に仕上げてくれる。
特に歌ものがいい。
久しぶりに鬼束ちひろの歌を聴いた。
サードアルバム「Sugar High」の中で「声」「漂流の羽根」「砂の盾」という日本語タイトルの3曲が特に好きでよく聴いていた。
このアルバムは録音がよくない。
レンジ感が狭い、音に解像感がない、何より音色が暗い。
それを我慢しながら聴いていた。
ZEN CAN Signature 6XXとHD595で聴くとどうだろう、聴いていて気持ちいい。
録音のネガ、特に音色の暗さが抑えられて、心地いい部分の音だけが強調される印象がある。
ある程度ソースは限定されるが、HD595を使うならADI-2 DAC単体で聴くよりZEN CAN Signature 6XXを組み合わせた方がいいものがあるというのは、とてもうれしい発見だった。
歌ものを気楽に聴くのにHD595の出番が増えそうだ。
音には関係ないが、ZEN CAN Signature 6XXは使っていると相当熱を持つ。
ADI-2 DACの発熱量も相当だが、それ以上なのは間違いない。
いまは、ADI-2 DACの上にZEN CAN Signature 6XXを乗せて使っているが、放熱のことを考えるとちょっとこの状態で使うのがはばかられるほどだ。
iFiの製品はコンパクトなものが多く、全般的に発熱量が多い気がするが、Diretta Target PC2に使っているiPurifier DC2も触り続けられないほど発熱するので、目の前に熱を持つ機器ばかり増えて、夏場は気になる。
あとはプラグの抜き差しにどうしてもZEN CAN Signature 6XXの本体に触ることになるが、とにかく指紋が目立つ。
ADI-2 DACはここまでじゃないぞ。
ティッシュペーパーで拭いても落ちないので、メガネ拭きクロスでも置いておく必要があるかな。
○ヘッドフォンをどうするか?
これで準備は整った。
あとはバランス接続のできる新しいヘッドフォンを迎え入れるだけだ。
もちろん開放型希望なのでゼンハイザーのHD660S一択と思っていたのだが、ZEN CAN Signature 6XX+HD595の音を聞いてしまうと、気持ちがぐらつく。
ヘッドフォンを1つに絞るならHD660Sで決まりなのだが、ATH-A2000Zを併用するならば、
現代的な音色ではないかもしれないがリスニング専用、音楽を気持ちよく聴くためのヘッドフォンとしてHD6XXを選ぶというのも十分ありなのではないか。
HD650はいまも販売されているが、正規品となるとHD660Sより高額になるので選択肢から外れていたが、HD660Sより価格が抑えられていて中身はHD650と同じ(といわれている)HD6XXとなれば選択肢になりうる。
調べてみた。
HD650が現在でも販売されいてる日本国内ではHD6XXの正規品は販売されていないので、並行輸入品か海外のサイトからの直接購入ということになる。
Massdrop公式サイトの価格は219ドルだった。
昨今の円安の影響で直接購入の価格てなメリットは少なくなっている。
並行輸入品はどうかと思って調べると怪しげな転売品ばかりが見つかって、なかなか購入に踏み切れそうなところがない。
唯一並行輸入品を取り扱っているショップでまあまあの価格での販売があった。
まあ並行輸入品としてはこの価格差なら許容できるか。
しかし、HD6XXは中身はHD650と同じらしいが外装は異なる。
もちろん国内正規品ではないのでメーカーの保証は付かない。
さらにHD650と同様HD6XXにもバランスケーブルは付属しないので、別途購入が必要となる。
バランスケーブル代も含めるとHD6XXの並行輸入品とHD660Sの国内正規品との価格差はほとんどなくなる。
さて、どうしようか。しばらく悩んでみよう。