八島ビジターセンター

長野県のほぼ中央、霧ヶ峰高原の八島湿原を中心とした地域の最新情報をビジターセンターからお届けします

水と湿原

2007年08月16日 | Weblog
太平洋高気圧が日本列島の上空をすっぽりと覆い、全国的な猛暑をもたらしています。その影響か、霧ケ峰ではもう十日以上雨が降っていません。八島湿原の鎌ヶ池の地面は少しずつ露出し、八島ヶ池では島の面積が異様に大きくなっている気がします。湿原の東に位置する雪不知沢や御射山を流れる観音沢の上流部では、水が一滴も流れていないような状態です。夏も盛りなのに夕立ひとつないというのもちょっとおかしな事態です。

一方、霧ケ峰では沢の水が枯れることは決して珍しいことではありません。今回のように夏でも沢が枯れたり、池の水量が減ることはしばしば起こります。霧ケ峰は高標高地にあるうえに森林が欠如しているため、降った雨が蓄えられることなく一気に下流へと流出してしまうのです。となれば、今回の現象は言わば「いつものこと」、「別にいいのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、そうでしょうか。

水の変化が激しい。雨量にすぐ影響されるということは、それだけ霧ケ峰の自然全体が気象変化に左右されやすいということを意味しています。森林という防護服を剥ぎ取られてしまった弱い存在なのです。この地域の植物にとって雨や霧は非常に重要です。高層湿原そのものも雨水によって涵養される湿原です。その中で、今回のような異常猛暑、そして温暖化などの大規模な気候変動の影響は、決して小さくはないかも知れません。長い長い年月のもとに育ってきた、このあまりにも高齢な湿原は今後どのような道をたどるのでしょうか。

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