切られお富!

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<訃報> 翻訳家 詩人 加島祥造 

2016-01-06 21:22:38 | 超読書日記
三島由紀夫の文庫の解説なんかでおなじみだった文芸評論家の佐伯彰一の訃報に続いて、この人の訃報とは。ま、佐伯氏享年93歳で、加島氏92歳だから、大往生だとは思います。ということで、ご冥福をお祈りいたします。

後年、『求めない』などの著作で、詩人として大ブレイク、NHKの番組にもなった加島氏でしたが、わたしの学生時代のイメージはなんといっても翻訳家でした。

特に、志村正雄氏との対談『翻訳再入門』は名著で、この本のおかげで、フォークナーの『響きと怒り』の原題”Sound and fury”がシェイクスピアのマクベスから来ている言葉であって、ただ単に「響きと怒り」としては、そのニュアンスがまったく伝わらないとか、"The sun also rises"は「日はまた昇る」という訳より「日もまた昇る」の方がよい等、翻訳の奥深さを教えられました。詩人としての業績もさることながら、フォークナーやトウェインの翻訳業が再リスペクトされるとよいですね~。

とはいえ、NHKの番組の地方独居生活を観たときは、見た感じも仙人みたいで大分イメージ変わりました。フォークナーなどアメリカ南部文学あたりから出発して、『老子』の現代語訳とか『求めない』などの詩作活動で東洋思想の方向に行くなんて、学生時代に『翻訳再入門』を読んでいた頃には想像できませんでしたね。

NHKの番組で対談した姜尚中さんはコメントを出されるのでしょうか?NHKには再放送を希望します!

PS:わたしが一時愛読していたカーソン・マッカラーズ。「結婚式のパーティ」の加島さんによる新訳『夏の黄昏』(福武文庫)は絶版のままですね~。せめて、電子書籍にならないものか・・・。

(以前書いた記事)
・8月31日と『夏の黄昏』と…。
・夏の終わりを感じる色々・・・。

翻訳再入門―エッセイと対談
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南雲堂


『求めない』 加島祥造
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小学館


タオ―老子 (ちくま文庫)
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筑摩書房


八月の光 (新潮文庫)
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新潮社


完訳 ハックルベリ・フィンの冒険―マーク・トウェイン・コレクション〈1〉 (ちくま文庫)
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筑摩書房


夏の黄昏 (福武文庫)
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福武書店
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