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黒澤作品格安DVD 販売差止め訴訟。

2007-04-02 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
最近のニュースでものすごく感心したニュースがこれ。この東宝サイドの理屈を考えた弁護士は凄い人だなあ~。ちょっと感動した。

黒澤8作品の格安DVD販売 東宝が差し止め求め提訴(朝日新聞) - goo ニュース

映画の著作権は2004年1月1日から、「公開から70年の保護期間」が与えられているんだけど、問題の黒澤作品は2004年元旦以前にそれまでの保護期間50年が過ぎているから、本来ならパブリックドメインになってしまうところ。

しかし、旧著作権法(明治32年制定)から現在の著作権法の移行段階の附則、

(著作物の保護期間についての経過措置)
第七条 この法律の施行前に公表された著作物の著作権の存続期間については、当該著作物の旧法による著作権の存続期間が新法第二章第四節の規定による期間より長いときは、なお従前の例による。

従って、旧著作権法の規定の方が長いときは長いほうに従う、つまり映画の場合、旧法では、

第二十二条の三 〔映画の著作権〕 活動写真術又は之と類似の方法に依り製作したる著作物の著作者は文芸、学術又は美術の範囲に属する著作物の著作者として本法の保護を享有す其の保護の期間に付ては独創性を有するものに在りては第三条乃至第六条及第九条の規定を適用し之を欠くものに在りては第二十三条の規定を適用す

ということになっていて、独創性がないと公開から13年、独創性があると著作者の死から38年。

だから、1998年の黒澤の死から換算して2036年が保護期間だっていうのが、東宝の主張!こういうのはさすがに思いつかなかったなあ~。

法律上確かに論理の輪が繋がっているし、凄いなあとは思うんだけど、疑問点が二つ。

映画黎明期の映画の定義(映画の誕生は1895年。この法律は1899年のもの)を持ち出すのってどうなのかということと、こういうときだけ映画監督の著作権を持ち出すことに、映画監督協会はどういう見解を持つのかっていうのが気になりますね。

裁判結果が楽しみ!

<参考>
・著作権法
・旧著作権法
・映画監督協会について書いた記事
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