簡単に感想です。
①祇園恋づくし
この芝居を見るのは二回目で、前回見たのは2015年の納涼歌舞伎。その時は勘九郎と扇雀でした。わたしは、残念ながら勘三郎・坂田藤十郎のこの舞台は観てないんだけど、映像があったら観てみたいですね。
【その時の感想】8月納涼歌舞伎(歌舞伎座)第3部「芋掘長者」「祇園恋づくし」
さて、落語の「祇園会」を元にした芝居ですが、7月に大阪松竹座でほぼ同じ配役でやっているんですね。後で気づきました。
今回、大津屋次郎八/大津屋女房おつぎを鴈治郎、指物師留五郎/芸妓染香を幸四郎でした。鴈治郎の大津屋は見事に坂田藤十郎のヒラヒラした明るい雰囲気そのままで、二代目鴈治郎系の芸風だと思っていたこの人が、やっぱりお父さん似だと思えたのが収穫。
幸四郎の留五郎は軽い役だったけど、こういうナンパな役がこの人らしくていいです。勧進帳弁慶とか熊谷直実は家の芸だけど、世話物の軽さと甘さがこの人の本当の持ち味だと思います。江戸和事みたいな芝居を発掘してやってほしいと思いますね。一方で、幸四郎の女形染香はちょっと消化不良、というか気の毒。「伊達の十役」みたいな演目を除けば、こういう世話物の女形はそんなにやってない人だけに、ちょっと色気とか小気味よさが足りない気がしました。これというのも、前観たのが七之助だというのが大きいですね。
あと、千之助の妹おそのがなかなかよくて、先月の大星力弥もよかったけど、背筋がいいというか品のいい芸のひとだなあ~と思います。将来「兼ねる役者」になるんですかね?なんか仁左衛門というより、若い頃の勘三郎みたいな雰囲気あるな~という気がしました。
あと、この舞台では、持丸屋太兵衛の歌六がグッと芝居を締めていましたね。さすが仲裁役という貫禄。
ということで、まずまず楽しめました。でも、後半はちょっとダレたかな・・・。
②釣女
この芝居の出演者の組み合わせが新鮮でした。歌昇、松緑、笑也、幸四郎。この芝居に限らず、松羽目物ってベテラン陣がやることも多いので、清新な感じがしましたね。それに、属する系統が違うので、今後もあんまりない組み合わせかもしれないですね。
歌昇、松緑は口跡がよいので、気持ちよく観られました。美女が笑也で、醜女が幸四郎。個人的には笑也がわたしは好きで、このひとの四ノ切の静御前の刀を構えたキリリとした雰囲気が大好きなんだけど、今回のこの役もただなよなよしてるんじゃなくて、どこか凛とした感じがよいですね。幸四郎はこの役を楽しんでやっていて、それはそれでよいです。
ちなみに、「この芝居は今ならルッキズムだと非難されるんだろうけど・・・」というような趣旨を松緑がブログに書いていて感心したというか、今の役者も悩みながらやっているんだということが、むしろ頼もしい感じがしました。松緑はサブカルにも詳しいし、表現力もあるので、こういう率直な意見を言ってくれるのはいいですよ。そして、ルッキズムだコンプライアンスだと言い出したら、歌舞伎のみならず古典の演目が減ってしまうというのも現実だという認識は正しいと思いますね。要するに、今、目の前の差別を非難すべきで、演目を検閲したり封印することがアンチ差別ではないと、わたしも思います。
ということで、今月の三部の中では一番軽やかな第二部でした。
①祇園恋づくし
この芝居を見るのは二回目で、前回見たのは2015年の納涼歌舞伎。その時は勘九郎と扇雀でした。わたしは、残念ながら勘三郎・坂田藤十郎のこの舞台は観てないんだけど、映像があったら観てみたいですね。
【その時の感想】8月納涼歌舞伎(歌舞伎座)第3部「芋掘長者」「祇園恋づくし」
さて、落語の「祇園会」を元にした芝居ですが、7月に大阪松竹座でほぼ同じ配役でやっているんですね。後で気づきました。
今回、大津屋次郎八/大津屋女房おつぎを鴈治郎、指物師留五郎/芸妓染香を幸四郎でした。鴈治郎の大津屋は見事に坂田藤十郎のヒラヒラした明るい雰囲気そのままで、二代目鴈治郎系の芸風だと思っていたこの人が、やっぱりお父さん似だと思えたのが収穫。
幸四郎の留五郎は軽い役だったけど、こういうナンパな役がこの人らしくていいです。勧進帳弁慶とか熊谷直実は家の芸だけど、世話物の軽さと甘さがこの人の本当の持ち味だと思います。江戸和事みたいな芝居を発掘してやってほしいと思いますね。一方で、幸四郎の女形染香はちょっと消化不良、というか気の毒。「伊達の十役」みたいな演目を除けば、こういう世話物の女形はそんなにやってない人だけに、ちょっと色気とか小気味よさが足りない気がしました。これというのも、前観たのが七之助だというのが大きいですね。
あと、千之助の妹おそのがなかなかよくて、先月の大星力弥もよかったけど、背筋がいいというか品のいい芸のひとだなあ~と思います。将来「兼ねる役者」になるんですかね?なんか仁左衛門というより、若い頃の勘三郎みたいな雰囲気あるな~という気がしました。
あと、この舞台では、持丸屋太兵衛の歌六がグッと芝居を締めていましたね。さすが仲裁役という貫禄。
ということで、まずまず楽しめました。でも、後半はちょっとダレたかな・・・。
②釣女
この芝居の出演者の組み合わせが新鮮でした。歌昇、松緑、笑也、幸四郎。この芝居に限らず、松羽目物ってベテラン陣がやることも多いので、清新な感じがしましたね。それに、属する系統が違うので、今後もあんまりない組み合わせかもしれないですね。
歌昇、松緑は口跡がよいので、気持ちよく観られました。美女が笑也で、醜女が幸四郎。個人的には笑也がわたしは好きで、このひとの四ノ切の静御前の刀を構えたキリリとした雰囲気が大好きなんだけど、今回のこの役もただなよなよしてるんじゃなくて、どこか凛とした感じがよいですね。幸四郎はこの役を楽しんでやっていて、それはそれでよいです。
ちなみに、「この芝居は今ならルッキズムだと非難されるんだろうけど・・・」というような趣旨を松緑がブログに書いていて感心したというか、今の役者も悩みながらやっているんだということが、むしろ頼もしい感じがしました。松緑はサブカルにも詳しいし、表現力もあるので、こういう率直な意見を言ってくれるのはいいですよ。そして、ルッキズムだコンプライアンスだと言い出したら、歌舞伎のみならず古典の演目が減ってしまうというのも現実だという認識は正しいと思いますね。要するに、今、目の前の差別を非難すべきで、演目を検閲したり封印することがアンチ差別ではないと、わたしも思います。
ということで、今月の三部の中では一番軽やかな第二部でした。
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