同日に第二部に続けて第三部を観てきました。簡単に感想。
①源氏物語 夕顔
光源氏、夕顔、六条御息所を、それぞれ梅玉、孝太郎、魁春。
この舞台を観ていて思ったのは、梅玉さんの光源氏は、團十郎三代(十一代目、十二代目、今の海老蔵)とは何かが違うなということ。気品というか、雰囲気というか、佇まいというか。巧く言語化できないんですけどね。團十郎系と一口に言っても、三人でそれぞれ違うということもあるけど、團十郎系はちょっと武人っぽさがある気がして、梅玉さんのほうがお公家さんっぽいんですよ。花道の出からそんな気がしました。
で、魁春の六条御息所がよかった。このひとの芸風にあっているのか、底知れぬ暗さがある気がしましたね。
紫式部が生み出した六条御息所って、その後の日本の文芸に大きな影響を与えている気がします。映画だと『雨月物語』の京マチ子だし、その後の怪談映画から、小説『死の棘』の奥さんまで、みんなこのキャラのチルドレンだという気がしますね。
②盲長屋梅加賀鳶
黙阿弥物の中でも好きな演目だけど、今は演じ手が減ってしまって、楽しみにしていました。以前だと、菊五郎、富十郎、團十郎、三代目猿之助に今の白鷗がいましたけど、今後だと、海老蔵と今回の芝翫くらい?松緑も先々はやるんでしょうけど、菊之助はニンじゃないなあ~。
さて、芝翫の道玄は、この人の芸風らしい、時代がかった感じの下卑た悪党で、あえて言うなら、無頼風だった三代目猿之助(今の猿翁ですよ)にちょっと近いかな。ただ、黙阿弥物っぽい七五調って感じではないですね。でも、白鷗のような現代調ではないところが、時代がかっているイメージか。
思えば二世松緑の道玄が一番悪が効いていて、それでいて世話物らしかったけど、世話物調の部分を受け継いだのが菊五郎と富十郎で、團十郎はちょっと独自の宇宙人的な雰囲気があった。で、この三人は二世松緑よりコミカルな部分が強くて、白鷗に至ってはコミカルにやりすぎ。で、その段では、怖さで特徴があったのが今回の芝翫ですかね。
でも、今月久々に富十郎のこの芝居の映像を見直していたら、富十郎も怖いところは怖くて、それでいて世話物らしさもあり、いやはや、やっぱり名優だったな~と改めて思ってしまいました。(ちなみに、わたしが観た映像の松蔵は吉右衛門!)
悪人道玄のコンビの悪女役のお兼は今回雀右衛門。しかし、この人はそれなりに巧くやってはいるんだけど、悪人向きじゃないので気の毒でした。過去に観たことのあるこの役だと、秀太郎、東蔵あたり。真打は多賀之丞だろうけど、裏のある雰囲気の出せる人の方が、芝翫の道玄の悪さが更に進化した気ががしますね。
松蔵は、梅玉。この役は気持ちのいい役だけど、吉右衛門、仁左衛門、梅玉の三人の独壇場でしょうね。ぴったりはまって言うことなしでした。
言うことなしでいうと、左團次の伊勢屋。だいぶ台詞は怪しかったけど、そんなことはどうでもよくなる貫禄。品のある商家の主人だったら先代の又五郎あたりだろうけど、今はそういうタイプの役者もいないし、貫禄のある主人だったらこの人しかいないでしょう。
というわけで、久々にいい加賀鳶でした。芝翫は来月の国立も楽しみですね。
①源氏物語 夕顔
光源氏、夕顔、六条御息所を、それぞれ梅玉、孝太郎、魁春。
この舞台を観ていて思ったのは、梅玉さんの光源氏は、團十郎三代(十一代目、十二代目、今の海老蔵)とは何かが違うなということ。気品というか、雰囲気というか、佇まいというか。巧く言語化できないんですけどね。團十郎系と一口に言っても、三人でそれぞれ違うということもあるけど、團十郎系はちょっと武人っぽさがある気がして、梅玉さんのほうがお公家さんっぽいんですよ。花道の出からそんな気がしました。
で、魁春の六条御息所がよかった。このひとの芸風にあっているのか、底知れぬ暗さがある気がしましたね。
紫式部が生み出した六条御息所って、その後の日本の文芸に大きな影響を与えている気がします。映画だと『雨月物語』の京マチ子だし、その後の怪談映画から、小説『死の棘』の奥さんまで、みんなこのキャラのチルドレンだという気がしますね。
②盲長屋梅加賀鳶
黙阿弥物の中でも好きな演目だけど、今は演じ手が減ってしまって、楽しみにしていました。以前だと、菊五郎、富十郎、團十郎、三代目猿之助に今の白鷗がいましたけど、今後だと、海老蔵と今回の芝翫くらい?松緑も先々はやるんでしょうけど、菊之助はニンじゃないなあ~。
さて、芝翫の道玄は、この人の芸風らしい、時代がかった感じの下卑た悪党で、あえて言うなら、無頼風だった三代目猿之助(今の猿翁ですよ)にちょっと近いかな。ただ、黙阿弥物っぽい七五調って感じではないですね。でも、白鷗のような現代調ではないところが、時代がかっているイメージか。
思えば二世松緑の道玄が一番悪が効いていて、それでいて世話物らしかったけど、世話物調の部分を受け継いだのが菊五郎と富十郎で、團十郎はちょっと独自の宇宙人的な雰囲気があった。で、この三人は二世松緑よりコミカルな部分が強くて、白鷗に至ってはコミカルにやりすぎ。で、その段では、怖さで特徴があったのが今回の芝翫ですかね。
でも、今月久々に富十郎のこの芝居の映像を見直していたら、富十郎も怖いところは怖くて、それでいて世話物らしさもあり、いやはや、やっぱり名優だったな~と改めて思ってしまいました。(ちなみに、わたしが観た映像の松蔵は吉右衛門!)
悪人道玄のコンビの悪女役のお兼は今回雀右衛門。しかし、この人はそれなりに巧くやってはいるんだけど、悪人向きじゃないので気の毒でした。過去に観たことのあるこの役だと、秀太郎、東蔵あたり。真打は多賀之丞だろうけど、裏のある雰囲気の出せる人の方が、芝翫の道玄の悪さが更に進化した気ががしますね。
松蔵は、梅玉。この役は気持ちのいい役だけど、吉右衛門、仁左衛門、梅玉の三人の独壇場でしょうね。ぴったりはまって言うことなしでした。
言うことなしでいうと、左團次の伊勢屋。だいぶ台詞は怪しかったけど、そんなことはどうでもよくなる貫禄。品のある商家の主人だったら先代の又五郎あたりだろうけど、今はそういうタイプの役者もいないし、貫禄のある主人だったらこの人しかいないでしょう。
というわけで、久々にいい加賀鳶でした。芝翫は来月の国立も楽しみですね。
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