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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

ドラマと小説、『点と線』! 前編

2007-11-25 14:09:03 | TVピープル
昨日は天気が良かったんで、リハビリがてら、ちょっと立ち読み。そこで店頭平積みが目に入ってしまい、ついつい松本清張の『点と線』の文庫を買って、テレビも見てしまった!テレ朝&新潮社にのせられちゃったな~。テレビと小説の感想です!

・テレビ朝日 「点と線」公式HP

夜、ドラマを見て、そのあと小説を読み始めたんですが、いろいろ考えちゃったなあ~。


まず、そもそも論でいうと、わたしは松本清張の小説ってあんまり馴染みがない。というより、ちょっと苦手にしていて、あんまり読んではいないけど、よいと思ったのは「或る『小倉日記』伝」くらい、世評の高い短編「張り込み」なんて、小説も映画も淡白で、今もってどこがよいのかわからない。

これは、基本、耽美派趣味のわたしには波長が合わないってことなんでしょう。ただ、あんまり安かったんで古本で買った、「昭和史発掘」全巻(!)は、いっとき結構ははまって読んでいた。(たとえば、芥川龍之介のくだりや谷崎潤一郎と佐藤春夫の話など。)

そんなわけで、あくまで、わたしの先入観でいえば、松本清張って、わたしの知りたい登場人物の"ある部分"をけっして突っ込んでくれないタイプの小説家、ということなんですよね。

さて、まずはドラマの方の印象なんだけど、キャスティングが凄いですね。最近のガキ相手商売の映画より断然重厚な凄い配役。樹木樹林や市原悦子に、ちょっとした役で斉藤洋介なんか使っちゃうし、監督冥利に尽きるんじゃないですか。

で、主役の刑事役ビートたけし。見た目の存在感は充分で、本人もノって演じているんだろうけど、役者・ビートたけしの最大の弱点は声だなあっていうのが、偽らざるわたしの感想。もうひとつドスが利かない、張らない声のせいで、ところどころで損している印象でしたね。

原作は、たけしの役に限らず、人物の性格付けがかなり淡白なんだけど、そこをドラマはかなり脚本が補っていて、脚本家の苦心がうかがえます。(その点を確認するだけでも原作を読む価値はあります。まあ、たけしのために書いた脚本なんだろうなあ~。)

そして、がんばっているのは、昭和三十年代を再現した美術の数々。脚本自体も、昭和三十年代ノスタルジーを濃厚に感じますが、美術が見事に後押ししている。

ただ、あえて言えば、せっかくの香椎駅のオープンセットもハイヴィジョンのクリアな画質で、なおかつ自然光の撮影をやってしまうと、画面が明るすぎて美術の粗が目立ってしまう。スタジオ撮影部分の照明が陰影深いだけに、ここは撮影に一工夫があったんじゃないかって気はしてしまいました。(フィルムなら、"銀残し"かな?)

ドラマ自体の感想は、全編終わったあとに詳しくやろうと思いますが、ざっくりとした感想でいえば、この作品は日本が広くて遠かった時代の話だなあというのがひとつ。

以前、青春18切符で東京駅から青森まで行ったことがあるんですけど、早朝東京出発で、結構夜中に青森に着いた記憶がある。(その旅行の目的地は、恐山だったんですけどね!)そのときは、時刻表とにらめっこしての旅でしたが、今は夜行バスで一眠りしているうちに、結構遠くまで行けちゃう時代ですからね。

それと、この作品がリアリスティックだっていう評価には、日本の時刻表に対する信頼というのがあって、トーマスクックの時刻表ではあんまり成立しない話かなっていうことと、この小説が登場する以前は、よっぽど空想的な推理小説が多かったんだろうなという感想も持ちました。(第一、この小説だって、そんなにリアリスティックですか?)

二つ目は、官僚と業者の癒着を扱っているという点では、今をときめく守屋氏問題と一緒の話であって、このテーマは古くて新しいなあということ。

だから、松本清張も、草葉の陰で、「まだ、やってるんだな」ってあの唇を舐めてるんじゃないでしょうか?

さて、原作は、読みやすくて、昨晩すぐ読んじゃったんだけど、ドラマの後半が楽しみ。どんな脚色がなされているのかなってね。

点と線
松本 清張
新潮社

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