切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

<訃報> 作家 安岡章太郎

2013-01-29 23:59:59 | 超読書日記
メディアの取り上げ方が意外なくらい薄い!そんな気がしたんで、取り上げるんですが、芥川賞作家だし、「第三の新人」の代表格でしょう。ご冥福をお祈りいたします。

とはいいながら、特別に思い入れのある作家ではないんだけど、おそらく代表作ということになる『海辺の光景』(「うみべ」じゃなくて「かいへんのこうけい」ネ!)を含め、そこそこ読んでますし、わたしが高校生くらいのときは国語の教科書にも短編が載ってたりしたような・・・。ま、今日日国語の教科書もよしもとばななとかだったりするみたいですからね・・・。

で、誰が言ったか忘れたけど、「『悪い仲間』にでてくる悪い奴って、本当の悪人じゃなくて、山手のお坊ちゃんの不良くらいでしょ」というのは、『悪い仲間』一作のみならず、このひとの作品の、良くも悪くも品のよさを象徴しているんじゃないでしょうか?

そこが「第三の新人」の作家が題材とする日常の物足りなさではあるんだけど、文章の巧さとかタイトルをつけるセンスは流石な人ばかり。そして、不思議と若い頃に病気もちだったひとが多いんですよネ。

さて、個人的には月並みだけど『ガラスの靴』あたりかな~。それと、変な読み方かもしれないけど、『僕の昭和史』に出てくる映画のくだりだけ拾い読みすると、公開当時の受け取られ方がよくわかって面白かったですね~。たとえば、ジャン・ルノワール監督、ジャン・ギャバン主演の名作『大いなる幻影』とか。

あと、江藤淳の『成熟と喪失』がらみで『海辺の光景』と戦前世代のマザコン問題は語り継がれるのでしょう。

しかし、若いときに肺病病みだったこのひとが92歳で老衰で死去というのは、この人っぽいというか、人生の達人っぽい感じがしなくもないですね~。

PS:小説より、『アメリカ感情旅行』とか『戦後文学放浪記』みたいな岩波新書とか『私の濹東綺譚』(新潮文庫)みたいなエッセイの方に親しんでいましたね。こういうひとは訃報記事書いちゃあいけないんでしょうけれど…。


作家の安岡章太郎さん死去 「第三の新人」、文壇をリード(産経新聞) - goo ニュース

僕の昭和史 (新潮文庫)
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海辺の光景 (新潮文庫)
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ガラスの靴・悪い仲間 (講談社文芸文庫)
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私の墨東綺譚 (新潮文庫)
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アメリカ感情旅行 (岩波新書)
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戦後文学放浪記 (岩波新書)
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大いなる幻影 [DVD]
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成熟と喪失 “母”の崩壊 (講談社文芸文庫)
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