『千年女優』 今敏 監督

先日、ＢＳアニメ夜話で取り上げられていたんで、観てみたのだけど、これはよい！邦画オタクの心をくすぐる傑作で、たとえ映画に詳しくないひとでも楽しめる深遠なラスト。思わず、「ウ～ん」と唸ってしまった！

話は、30年前に表舞台から姿を消した伝説の大女優・藤原千代子へのインタビューを縦糸に、自らの生い立ち、秘められた恋が語られ、いつしか現実と過去、そして映画が混ざり合っていくというもの。

作品の中では様々邦画の名作が引用されていくんだけど、このあたりは映画に詳しい人ならすぐに見当が付くだろう。そして、モデルになっていると思われる様々な映画女優の名前が浮かぶに違いない。

また、戦中戦後の日本というのがこの作品の背景にあるので、お盆時期に観るのはある意味タイムリーであるともいえる。

しかし、そういうこと以上に、女であることと女優であることが重なりあって行く瞬間、演じることと生きることが一緒になっていく刹那が描かれているってあたりが、なんとも深い。

わたしは、最初、田中絹代の『西鶴一代女』みたいな映画だって思ったんだけど、少し時間が経って、今村昌平の『人間蒸発』みたいな作品かもしれないと思うようになった。

たった９０分足らずの時間で、これだけの情報量とテーマ性を持っているアニメ作品。今まで知らなくて恐れ入りましたっていう心境になりましたね、わたしは！

因みに、この作品にもブライト艦長出てましたよ！ちょっとイヤな役で！

声優の鈴置洋孝さん死去　「ガンダム」のブライト艦長役 (朝日新聞) - goo ニュース

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