切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『自負と偏見』 ジェーン・オースティン 著

2010-10-19 23:59:59 | 超読書日記
19世紀初めの英国文学の古典で、近年は映画になったりと再評価の機運ですか?ということで、読んでみました。恥ずかしながら今まで読んだことがなかったので!!

早い話が、妙齢の女性(古い表現!だけど、この小説にぴったりなんですよね!)がよい婿を見つけるまでの、いわゆる「マン・ハント・ストーリー」!

で、正当かつ真っ当な感想は巷に溢れているはずだから、個人的な見解のみ書かせてもらいます。

①とにかく、既知に富んだ会話と人物評(といえば聞こえはいいけど、つまるところ噂話の類)のみで構成されているといっていい小説で、描写にこだわる19世紀近代文学とは対極にあるスタイルですね。

美しい庭園や豪華な邸宅がこれでもかと登場するにも関わらず、それらの形容が「美しい」くらいしか出てこない!これは確信犯というか、人物のミディアムショットのみでつないでいる映画みたいな方法論だと思います。

で、そうしたスタイルゆえに、たくさんの登場人物が必要になる。逆に言えば、二人しか登場しない小説だったら成立しないやり方なんだと思います。

そして、たいした事件が起きないにも関わらず、文庫で600ページが飽きない不思議!

これは恐るべき小説です。映画なら小津安二郎みたいな感じかな。(そういえば、戦後の小津作品も上映時間長いですよね。)

ちなみに、小泉八雲が「日本人にはこの小説の本当の良さがわからない」と東大の授業で言ったとか・・・。その真意はともかく、わたしも中高生ぐらいだったら、マンガのラブコメくらいにしか理解できなかったかもしれないなあ~。

②夏目漱石が『文学論』のなかでジェーン・オースティンを絶賛しているんですが、『明暗』の主人公津田の妻お延と『自負と偏見』のエリザベスがわたしのなかでは妙に重なるんですね~。気の回し方と勝気な感じが・・・。

わたしのなかでは、このふたり、文学上の姉妹ですね!

ちなみに、これはあくまで『明暗』の話。『続明暗』のお延ではありません!念のため!

自負と偏見 (新潮文庫)
J. オースティン
新潮社


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