
じつは土曜日に観に行きました。簡単に感想っ!
①象引(ぞうひき)
團十郎の復帰公演ですが、元気でした團十郎。結局荒事って、声の競演だと思うのですが、受ける三津五郎も口跡がよいし、充実した舞台だったんじゃないのかな。
團十郎は花道の出の声からして元気いっぱい。病後だからどうかななんていう心配は第一声で払拭されましたね。
象の引き合いに力感がなかったという批判があるようだけど、象も團十郎に似ておおらかな象という感じもあり、最後の引っ込みの象の愛嬌も團十郎のおおらかさと通じる象の芝居だって思えました。
まずは目出度い舞台ということでよろしいんじゃないですか。
②十返りの松(とがえりのまつ)
これも意外と楽しめたのですが、山勢松韻ほかの山田流筝曲に田中傳左衛門の鼓で格調の高いインストルメンタル(といっても唄も歌ってはいますが・・・。)だったなあという印象。
舞踊自体はそれほど面白いとは思いませんでしたが、花道スッポンから出てきた橋之助&福助兄弟が雰囲気があってよかったですね~。
今までは、橋之助&福助兄弟が登場すると、なんとなく福助の方が格上のような印象を持っていたのですが、今回はすっぽんからせり上がってくるときの橋之助の肩のラインがとても立派に見えて、大きな立ち役役者という感じがわたしはしました。
それに、福助も成駒屋総出演の舞台ということで、総領息子としての落ち着いた雰囲気がありましたしね。
個人的には成駒屋一門のなかでも贔屓にしている中村芝のぶの清新な舞踊を見れたのがよかったのですが、最後に登場した芝翫がやっぱり立派。
以前、歌舞伎座の近くで生の芝翫を見かけたときは、「こんなに小柄な老人なんだ!」という驚きがありましたが、歌舞伎座の大舞台で羽柴秀吉みたいな役を演じているときは、大きな存在感を感じるんですよね。
この舞台でも、出てきた段階で貫禄を感じました。
これまた、お目出度い舞台ということで、よろしいのでは!
③競艶仲町(いきじくらべはでななかちょう)
これは今回の公演の収穫といっていい舞台でしたね。
鶴屋南北の埋もれた作品の復活ということで、関係者の努力には頭が下がります。こういう努力こそが伝統を守るということなんであって、普段「日の丸・君が代」とか「靖国」なんて騒いでいるくせに、国立劇場の予算削減、独立行政法人化には反対も何もしなかった国会議員なんぞに伝統を語る資格なしって、ところなんじゃないですか!
と、話をわき道から戻すと、この芝居って、簡単に言えば一人の遊女をめぐる3人の男って感じのストーリーですよね。で、そこに後の南北作品と繋がるような要素がちりばめられていくってことになりますか。
福助はヒロインの遊女都とお早の二役。都役は福助のニンに合っていて貫禄があったし、勘三郎と競演しているときより三津五郎との方が落ち着きあってわたしはよい印象を持ちました。ただ、二役目のお早はちょっと作り過ぎで、あれではお早と結婚することになる三津五郎演じる与兵衛が気の毒になっちゃいますよ。
で、今度は三津五郎の与兵衛。この真面目で武士が遊女に惚れて、諦め、腕に入れられた女の名前の刺青を刀で刺す。このあたりの人物造型に「盟三五大切」の源五兵衛を連想するのですが、源五兵衛の原型になっているキャラなのかもしれませんね~。三津五郎はなんといっても序幕第二場の最後の台詞が名調子。程よくタメが効いててうっとりさせられます。
橋之助の与五郎は町人らしい気風のよさでこれまた好演ではありましたが、このひとって舞台だと少し台詞が一本調子で、声にバリエーションがない。吉右衛門ほど技巧的にやれとはいいませんが、声のニュアンスに富んでいたほうが、世話物らしい情緒がでるんじゃないですかね。(テレビだと舞台よりニュアンスに富んでいると思うのはわたしだけですか?)
三人目の男・團蔵って、じつはわたしの贔屓役者のひとりですが、今回の悪役も当然ながらこのひとのニン。今回の舞台は成駒屋一門プラス菊五郎劇団という一座でしたが、権十郎同様舞台を締めてくれました。
ところで、個人的にこの芝居で嬉しかったのは、わたしが成駒屋一門で大好きな中村芝のぶ(「ちゃん」といいたいところですが・・・。)の出番が多かったこと。
与兵衛の妹・お虎という生真面目な娘役はこの人のニンに合っていて、わたしは随分楽しめました。個人的には春猿より好きなんですけどね~、品があるから。
というようなわけで、再演があってもいい位のお芝居でした。
しかし、鶴屋南北って、なんで「肉体の破壊」っていうテーマにこだわるんですかね?
①象引(ぞうひき)
團十郎の復帰公演ですが、元気でした團十郎。結局荒事って、声の競演だと思うのですが、受ける三津五郎も口跡がよいし、充実した舞台だったんじゃないのかな。
團十郎は花道の出の声からして元気いっぱい。病後だからどうかななんていう心配は第一声で払拭されましたね。
象の引き合いに力感がなかったという批判があるようだけど、象も團十郎に似ておおらかな象という感じもあり、最後の引っ込みの象の愛嬌も團十郎のおおらかさと通じる象の芝居だって思えました。
まずは目出度い舞台ということでよろしいんじゃないですか。
②十返りの松(とがえりのまつ)
これも意外と楽しめたのですが、山勢松韻ほかの山田流筝曲に田中傳左衛門の鼓で格調の高いインストルメンタル(といっても唄も歌ってはいますが・・・。)だったなあという印象。
舞踊自体はそれほど面白いとは思いませんでしたが、花道スッポンから出てきた橋之助&福助兄弟が雰囲気があってよかったですね~。
今までは、橋之助&福助兄弟が登場すると、なんとなく福助の方が格上のような印象を持っていたのですが、今回はすっぽんからせり上がってくるときの橋之助の肩のラインがとても立派に見えて、大きな立ち役役者という感じがわたしはしました。
それに、福助も成駒屋総出演の舞台ということで、総領息子としての落ち着いた雰囲気がありましたしね。
個人的には成駒屋一門のなかでも贔屓にしている中村芝のぶの清新な舞踊を見れたのがよかったのですが、最後に登場した芝翫がやっぱり立派。
以前、歌舞伎座の近くで生の芝翫を見かけたときは、「こんなに小柄な老人なんだ!」という驚きがありましたが、歌舞伎座の大舞台で羽柴秀吉みたいな役を演じているときは、大きな存在感を感じるんですよね。
この舞台でも、出てきた段階で貫禄を感じました。
これまた、お目出度い舞台ということで、よろしいのでは!
③競艶仲町(いきじくらべはでななかちょう)
これは今回の公演の収穫といっていい舞台でしたね。
鶴屋南北の埋もれた作品の復活ということで、関係者の努力には頭が下がります。こういう努力こそが伝統を守るということなんであって、普段「日の丸・君が代」とか「靖国」なんて騒いでいるくせに、国立劇場の予算削減、独立行政法人化には反対も何もしなかった国会議員なんぞに伝統を語る資格なしって、ところなんじゃないですか!
と、話をわき道から戻すと、この芝居って、簡単に言えば一人の遊女をめぐる3人の男って感じのストーリーですよね。で、そこに後の南北作品と繋がるような要素がちりばめられていくってことになりますか。
福助はヒロインの遊女都とお早の二役。都役は福助のニンに合っていて貫禄があったし、勘三郎と競演しているときより三津五郎との方が落ち着きあってわたしはよい印象を持ちました。ただ、二役目のお早はちょっと作り過ぎで、あれではお早と結婚することになる三津五郎演じる与兵衛が気の毒になっちゃいますよ。
で、今度は三津五郎の与兵衛。この真面目で武士が遊女に惚れて、諦め、腕に入れられた女の名前の刺青を刀で刺す。このあたりの人物造型に「盟三五大切」の源五兵衛を連想するのですが、源五兵衛の原型になっているキャラなのかもしれませんね~。三津五郎はなんといっても序幕第二場の最後の台詞が名調子。程よくタメが効いててうっとりさせられます。
橋之助の与五郎は町人らしい気風のよさでこれまた好演ではありましたが、このひとって舞台だと少し台詞が一本調子で、声にバリエーションがない。吉右衛門ほど技巧的にやれとはいいませんが、声のニュアンスに富んでいたほうが、世話物らしい情緒がでるんじゃないですかね。(テレビだと舞台よりニュアンスに富んでいると思うのはわたしだけですか?)
三人目の男・團蔵って、じつはわたしの贔屓役者のひとりですが、今回の悪役も当然ながらこのひとのニン。今回の舞台は成駒屋一門プラス菊五郎劇団という一座でしたが、権十郎同様舞台を締めてくれました。
ところで、個人的にこの芝居で嬉しかったのは、わたしが成駒屋一門で大好きな中村芝のぶ(「ちゃん」といいたいところですが・・・。)の出番が多かったこと。
与兵衛の妹・お虎という生真面目な娘役はこの人のニンに合っていて、わたしは随分楽しめました。個人的には春猿より好きなんですけどね~、品があるから。
というようなわけで、再演があってもいい位のお芝居でした。
しかし、鶴屋南北って、なんで「肉体の破壊」っていうテーマにこだわるんですかね?
オイラも9日に観てきました。
象引の團十郎、実に若い衆らしく、溌剌とした姿。
よかったですね。
髷結前という上方も、その顔の作りも、とても、團十郎にあっていて、ただただ、目出度い舞台ありがとうという感。
三津五郎もとても良かったし、市蔵、亀亀ブラザーズも安定感があってよかったな。
そうそう、病欠な升寿さんに代わった芝喜松さん、とってもよい台詞回しと風情でしたね。
十返りの松も芝翫さんの大きさに圧倒だし、成駒屋、大和屋一門のお弟子筋の層の厚さが見られますね。
お富さんと同じく「競艶仲町」はホントよく出来た舞台になってたと思います。
お富さんが挙げた役者に加えて、やっぱり市蔵、芝喜松の二人は時代物のニンがあり案視してみることが出来たなぁ。。。
ではまた。
大ベテランの升寿が見れなかったのは残念ですが、芝喜松もよかったです。
それと、亀亀ブラザーズ(!)は口跡がよくていつも感心するんですが、いまひとつ役に恵まれなくて気の毒ですねぇ~。
今回の国立劇場一月公演はなかなかの内容だったと思います。
ところで、コメントが重複しているようなので
、ひとつは消去させていただきます。
では!