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たけくまメモは曲解なんじゃない?(著作権の非親告罪化問題)

2007-05-23 08:21:35 | TVピープル
ネット上でちょっと話題になっている著作権法の非親告罪化問題なんだけど、わたしがこの件を話題にしている「たけくまメモ」を読んだ限り、曲解なんじゃないかというのが正直な印象。この件が討議された「知的財産戦略本部知的創造サイクル専門調査会(第8回)」の議事録を読んでも、著作権法を全面的に非親告罪化するという話ではなく、現状の非親告罪の範囲を拡大したいという提案内容なんですよね。それに、そもそも著作権法を全面的に非親告罪化したって、取締りなんか事実上無理に決まってます!(警察大幅増員するんですか?)

・【著作権】とんでもない法案が審議されている(たけくまメモ)
・「著作権法の非親告罪化」で“同人作家”等に深刻なダメージか(痛いニュース)

たけくま氏の

>警察・司法が独自の判断で著作権侵害とみなした行為者を逮捕することができる。

という言い方も気になるのですが、刑法・刑事訴訟法の大原則である「罪刑法定主義」(法律に書いてない罪では裁かれないという原則)ということをわかっていて、たけくま氏が書いているのか聞いてみたい気がします。(もちろん、原則論であることは承知の上です。)

だいたい、専門家の間でも意見がわかれる模倣または盗作問題について、警察・検察がバンバン立件することが出来るとは思えないし、実際のところ、明白かつ確信犯的にコピーを行っている組織的な業者の摘発を非親告罪化していこうという話なんだと思います。

ネット・オークションで違法コピーされた商品が売られているという話は、以前から問題になっていましたしね。

それと、そろそろマンガ業界関係者も、パロディや翻案についてガイドラインなんかを示すことで、コミケ問題に決着をつけたらどうかとは思いますね。(たとえば、許容範囲を漫画家団体が示すとか、許諾申請システムをつくるなど。)

ところで、以前たけくま氏が話題にしていた、「出版社も漫画家が使える写真のライブラリーを整備しろ」という話には、わたしも賛成。実際、映像の世界でも、著作権フリーの映像ライブラリーや効果音や音楽のライブラリーというのが存在するから、大手出版を中心に考えたらどうかという気もしますね。(というか、そういうビジネスもありうるなあとは思いますけど。)

そんなわけで、JASRAC問題のときと同様、よく考えもせず騒ぐというのは、ことの本質を見誤らせる原因になるので、こっちの方が問題なんじゃないですかね?

・頓珍漢なJASRAC批判!

以下に、一応、審議会の議事録の一部(問題箇所)を引用しておきます。因みに全文はコチラ

○藤田次長 先ほどの資料2の12ページをごらんいただきたいと思います。
 「模倣品・海賊版対策」の1つ目の項目は、「海賊版の広告行為を権利侵害とする法制度の検討」ということで、四角の中でございますけれども、著作権法において著作権を侵害する海賊版を販売するための広告行為は現状では権利侵害を構成することにされておりません。一方、商標、意匠あるいは特許などもそうですけれども、他の知的財産権は広告行為自体が権利侵害となっております。昨今、いろいろなインターネットオークションとか、ウェブサイトなどで著作権を侵害する、例えば大っぴらに海賊版の映画のDVDが売られるというようなことも多発してきておりますので、ほかの産業財産権に合わせて著作権法においても海賊版を販売するための広告行為そのものを権利侵害とするように法制度の整備を行ってはどうかということでございます。

 2つ目は15ページでございまして、「著作権法における「親告罪」の見直し」でございます。親告罪というのはこの四角の次のところに書いてございますけれども、被害者が告訴しなければ公訴を提起することはできない罪ということでございまして、例えば過失侵害ですとか、名誉棄損ですとか、あるいはストーカー被害ですとか、そうした犯罪については親告罪になっております。それで、現在著作権の侵害についても著作権法上、親告罪とされているわけでございます。
 ただ、同じ15ページの下の方をちょっとごらんいただきますと、例えば海賊行為が非常に巧妙になっていたり、あるいは権利者の関係が複雑になっていて、告訴権者による侵害の立証、関係者の調整が困難、あるいは負担が大きな場合が出てきている。あるいは、中小企業やベンチャー企業にとってはなかなか告訴をする人的、資金的な余力がないという場合もあること。あるいは、親告罪というのは刑事訴訟法によりまして犯人を知った日から6か月を経過してしまいますと告訴が不可能になるということで、いろいろ立証の準備をしているうちに6か月を経過してしまうような事態も起こり得るということから、この際、親告罪ではなく非親告罪とするということを検討してはどうかということであります。 ちなみに、ほかの国の立法令を見てみますと、アメリカなどは17ページのところに書いてございますが、職権起訴が可能である。あるいは、ドイツは原則親告罪なのですけれども、特別な公益上の必要を認めた場合には職権起訴が可能であるというようなことで、EUの指令も同じような提案が今なされておりますので、国際的な調和の観点からもおかしなことではないと考えられるのではないかということでございます。
 次が18ページでございますけれども、「インターネットオークション対策」です。(1)の背景のところをごらんいただきたいのですが、権利者がインターネットオークションへの権利侵害品の出品を発見した場合、現在はプロバイダ責任制限法、これは俗称でございまして、正確には特定電気通信役務云々という法律が2001年に制定されております。これはネットオークションへの対応のみならず、ネット上で例えば名誉棄損あるいはプライバシーの侵害などが横行するのを防ぐというような目的も含めて、この法律がつくられたわけでございます。
 ネットオークションの関係ではこの下の①に書いてございますが、出品者情報の開示と、それから次のページの②にございます出品削除と2つの問題がございます。
 ①の出品者情報の開示というのは権利者、例えばルイ・ヴィトンですが、例えば、ヤフーのオークションで権利侵害品を発見した。それがオークションにかけられている。そうすると、それを一体どんな人が出品しているのか、その情報の開示を求めることができるということが法律で書かれているわけでございますけれども、①に書いてございますようにオークション事業者自身が権利侵害が明白であるということを審査することが現状では求められている。もし間違ってその情報を開示してしまいますと、今度は出品者に対してオークション事業者が責任を負うことになります。
 一方、次のポツですけれども、仮にオークション事業者が開示請求に応じないことにより、権利者にその損害が生じた場合の賠償責任は、オークション事業者が故意または重過失がある場合に限られるということでございまして、普通の過失であれば賠償責任も負わない。
 加えて3つ目のポツですけれども、権利者から開示請求を受けた場合にはその出品者の意見を聞かなければならないということも法律で定められておりまして、かなり情報の開示を求める権利者にとってはハードルが高い規定になっているわけであります。
 次の19ページの方は出品の削除ですけれども、この出品の削除も相当の理由がある場合には、出品削除をしたときにはオークション事業者は免責が受けられるということになっているわけですが、その判断が微妙な場合は権利者からの削除の申出があっても出品者に照会をして7日間の期間を経過しなければ、仮に削除したことによって出品者に損害の請求を受けた場合、オークション事業者は免責にならないということで、こうした面からも実際に削除をするのは難しいというか、ハードルが高い状況になっているわけであります。 同じ19ページの真ん中辺りにアメリカのノーティス・アンド・テイクダウン制度というものを紹介してございますけれども、アメリカの著作権法では権利者から一定の形式的な要件を備えた侵害通知を受けた場合には、これに従って送信防止措置を行ったプロバイダは免責を受けるという規定がございます。アメリカの場合にはこの一定の形式的要件というのは、例えばどういうものであって、あるいはこれが権利侵害であると判断した理由を述べて、もちろん当事者の氏名とか住所とか、そうしたものを満たしたものを出せば、プロバイダはそれによって出品を削除してしまっても、あとは出品者と権利者との間で争っていただくということで、プロバイダは免責を受けるという規定になっております。
 日本においてもこういう類似の規定を導入することができれば、オークション事業者は自分の責任は逃れるわけですから、権利者からそういう要求があればそのネットから削除する、あるいはその情報を開示するということがしやすくなるのではないかということでございます。
 その権利者が真の権利者でない場合にはそれが濫用になるおそれもございまして、なかなか実際の制度を手直しするのはいろいろ難しい点はあろうかと思いますけれども、こうしたことも検討してはどうかということでございます。
 次が23ページでございまして、消費者に対する啓蒙活動を強化するということで、前々回の会議でもちょっと御紹介申し上げましたけれども、今年の8月に世論調査をいたしましたら、一般の消費者の方々の半分近い方々が、模倣品・海賊版を買ってもいいんじゃないかという答えをされておられる。真正面から聞かれて半分くらいの人がいいんじゃないかと言っているわけですから、実はいいんじゃないかと思いながらも、やはりそれはいけませんよねと答えている人も相当いると思うので、結局日本の国民のかなりの部分の人たちは模倣品・海賊版を内心許容しているのではないかということで、買う人がいるから売る人も出てくるという面もあるわけでございます。
 世界最高レベルの知財立国を目指そうという日本でございますので、もちろん売らせない、つくらせないということもあるわけですけれども、買う人たちにも、それはいけないことなんだ、創作をした知的財産の価値をつくった人たちの権利を奪う、あるいは努力を無にする行為なんだということをより周知することによって、そういう模倣品・海賊版のマーケットを小さくしていくという努力が必要ではないか。こういうことで、下の方に少し小さい字で、例えば外国における購入を抑制するために旅行の申込みのときとか、あるいは出入国、出国のときに啓発活動をするとか、あるいはガイドさん、添乗員の方がこういうものを買って日本に持ち込むのは法律違反で没収されるおそれがありますよということをよくツアーの人たちに言ってもらうとか、学校でも子どもたちにそういう教育をして違法なダウンロードなどはしないように、してはいけないことなんだということをちゃんと理解をしてもらう。こういう啓蒙活動を強化すべきではないかということでございます。
 恐縮ですが、参考資料の2-1から2-3というものがございますので、簡単に御紹介を申し上げたいと思います。
 模倣品・海賊版の拡散防止条約の件につきましては、9月15日の模倣品・海賊版対策関係省庁連絡会議という関係省庁の局長級の会議がございました。この場所で外務省、経産省のみならず各省、皆で協力をして、せっかく日本から提案をした条約でございますので、これが実現するように政府一丸となって取り組んでいきましょうということで申合せをしてございます。
 参考の2-2は今、御紹介した啓発活動の強化についてで、特にこの啓発活動については別立てでパッケージをつくっておりまして、関係省庁が何をするということをここで全部列挙いたしまして啓発活動を強力に推進しようということの申合せをいたしました。
 参考資料の2-3は「模倣品・海賊版対策アクションプラン2006」ということで、これはさっきの条約あるいは消費者啓蒙以外の外国市場対策でございますとか、あるいは水際での対策でございますとか、そうしたものを全部各種の施策を取りまとめて強化をしていこうということで、こういう申合せもしたところでございます。御参考までに資料を配布させていただきました。
 御説明は以上でございます。
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