切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『ぐるりのこと。』 橋口亮輔 監督

2008-10-25 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
前作『ハッシュ』がよかったので気になっていた橋口亮輔監督の新作。ようやく観にいけました。今年三本の指に入る映画かな~、個人的には!

非常に寡作な監督になってしまったこのひとだけど、監督自身のテーマであった「同性愛」の問題から初めて離れた映画でしたねぇ~、この作品は。

話は、リリー・フランキーと木村多恵が演じる夫婦の「生活の日々・年月」を追ったもので、二人の話を追いながら1990年代の世相が巧妙に織り込まれていきます。

リリー・フランキー演じる夫の仕事が法廷画家だってあたりが、世相をこの映画に取り込む仕掛けとして非常にうまいと思うのですが、なんとなくモデルがすぐ分かる被告人役の役者たちがなかなかの熱演で息を呑みます。

特に、前作『ハッシュ』に出演していた片岡礼子が演じた、近所の子供を殺してしまった母親役は本当に凄みがありました。それと、誰だかすぐわかる加瀬亮の役と最後の法廷シーンの新井浩文の役!!

とはいいながら、この映画のメインのテーマは、法廷画家の夫とうつ病になった妻の生活と再生の記録の方で、木村多恵が大変な熱演で素晴らしかったですね。(ちょっと、後半熱演しすぎかなって気もしたけれど!)

また、リリー・フランキーも自然な芝居が非常にうまい!

前半の、ダイニングから居間までの長~いワンシーン・ワンカットで撮影されている夫婦の会話の場面(これが結構Hな内容だったりするのですが!)。

この長~い芝居を自然に続けられる持続力は只者ではありません。

そして、ちょっとネタばれになるけど、二人の和解の場面の、妻の感情を受け止める夫の芝居の力の抜け具合。

個人的にあまり好きではなかったリリー・フランキーですが、この映画でわたしは随分見直してしまいました!

それと、この映画の見所に脇役陣の充実もあって、木村多恵の母親役の倍賞美津子と兄役の寺島進がわたしはよかったなあ~。


というわけで、非常に簡単な感想ながら、この映画は「それなりに大人のカップル」にオススメの映画です。(ガキは見なくてよい!)

傑作!!

・公式HP

<過去に書いた関連記事>
・ジョージ・マイケル、男性と結婚


ハッシュ!

ハピネット・ピクチャーズ

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メジャーなんてやめとけばい... | トップ | 本日、歌舞伎座におりました。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アメリカの夜(映画日記)」カテゴリの最新記事