切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

追悼 吉田玉男さん

2006-10-05 02:55:42 | 恋する文楽
文楽の人形遣いで人間国宝・吉田玉男さんの訃報を知ったのは、旅からの帰り、関西空港のインターネットサービスで自分のブログを見たときでした。(brusqueさん、ありがとうございます。)わたしが旅に出た日に亡くなられ、たまたまとはいえ、帰りの大阪の地で玉男さんの訃報を知ることになるとは・・・。とにかく、艶っぽい、「いいおとこ」って感じの方でした。ご冥福をお祈りいたします。

文楽人形遣い、吉田玉男さんの文楽協会葬は30日(朝日新聞) - goo ニュース

昨年の五月に、事情があって舞台を観に行けなくなったのが悔やまれてならないのですが、その後の休演、そして訃報を思うとなんとも言葉に詰まります。

ただ、幸いにして玉男さんの舞台をいくつも見ることが出来たのは、今にして思えばよかったなあと思います。やはり近松物の色男は絶品だったし、手拭をかぶった人形を遣う玉男さんもやっぱり色男だった。

個人的には、最晩年の舞台ということになってしまった、「恋女房染分手綱」の<定の進>役の能舞台の静謐さが忘れ難い印象に残っています。(そのときの感想はコチラ

最近、文楽では休演が目立ちますし、玉男さんのあとの立ち役のベテランといえば、文吾さんあたりでしょうが、この方も最近休演が多い。先日の忠臣蔵は蓑助さんの由良助でしたが、玉男さん愛弟子・玉女さんの担う位置が今後は大きいなあと思います。

とにかく、ひとつの時代のおわりを予感させる玉男さんの訃報。東京では玉男さんの公演のチケットからあっという間に売れてしまう状況でしたが、今後はどうなるんでしょう?でも、決して見放しはしません。おこがましい言い方ですが、舞台は観客が育てていくものなんだってことを、最近強く感じています。

文楽を愛する者にとっては、来るべき「玉女・勘十郎・和生」時代を見つめ続けるのが、玉男さんからもらった感動を舞台に返していくことになるんだと信じて。

文楽の男―吉田玉男の世界

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2 コメント

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とても残念です (ねも)
2006-10-05 07:58:56
玉男さんが出ていらした演目を見ていたはずなのに、

毎回「いいなぁ~」で終わってしまって、記憶に残っているのが少ないんです。

もっとちゃんとしっかりと見ておけば良かったって後悔しています。

文楽って面白いんだ!って教えていただいた菅丞相が一番印象に残っています。
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コメント&TBありがとうございます。 (切られお富 )
2006-10-07 17:33:15
わたしも、もっと集中してみていればって後悔している人間のひとりです。



飄々とした舞台姿。人形より玉男さんの舞台姿が気になってしまって、よく玉男さんと目が合ってしまったことが思い出されます。といっても、玉男さんは客と目が合っても気にもしてなかったのでしょうが・・・。



皆さんご高齢だから、文楽の舞台一回一回が観客にとっても大事だなあって思います。

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