切られお富!

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<訃報> 文楽人形遣い 吉田文雀

2016-08-22 23:20:28 | 恋する文楽
文楽ファンとしては寂しいニュースですね。文楽人形遣いの人間国宝吉田文雀さんがお亡くなりになりました。享年88歳。年齢を考えれば大往生なんだけど、ベテランの引退や訃報が続く文楽界だけに、とってもさびしいです。ご冥福をお祈りいたします。

【訃報】文楽人形遣いの人間国宝、吉田文雀さん死去…品格のある芸で女方を中心に活躍

「文雀」という名前の由来は、仲が良かった今の坂田藤十郎、当時の「中村扇雀」から来ているんですよね。歌舞伎チャンネルの対談番組「芸に生きる」でわたしは知りました。

文楽の女形の人形遣いとしては、華やかな吉田蓑助の人形とは対照的で、落ち着いた雰囲気がありました。娘役や赤姫役が蓑助なら、年増、世話女房、老婆なんかは、文雀さんの人形が味わいありましたね。

個人的に記憶に残るのは、なんといっても合邦の玉手御前。蓑助さんだとまたアプローチが違うんでしょうが、落ち着いた年増の色気の玉手でしたね。同じようなことは、壺坂のお里にもいえて、大阪で観たしみじみとした舞台が忘れられない(この時は、今は亡き吉田文吾の沢市も絶品でした!)。あと、月並みだけど、関寺小町の老いた小野小町はこの人の独壇場でしたね~。

で、引退公演をやらないで舞台を去ったのも、この人らしかったんだけど、こんなに早く亡くなるとはね・・・。弟子の吉田和生を中心に、芸を継承していって頂きたいです。

しかし、文楽も一つの時代が終わりつつあるなあ~。ぼちぼち年号も変わりそうですが、平成の文楽はひとつの黄金期だったと記憶されるんじゃないでしょうか。

とりあえず、坂田藤十郎丈のコメントが聞きたいですね。
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