切られお富!

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『スライ・ストーン』 ウィレム・アルケマ監督

2015-12-13 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
今年観た数少ない映画のなかで、一番インパクトがあったのはじつはコレ。映画的にどうこうよりも、あのインタビュー嫌いのスライがインタビューに答えているってだけで驚愕!やっぱり、ジミヘン、ジェームス・ブラウンのドラマ化よりも本人ですよ!というわけで、簡単な感想のみ。

かつて天才といわれながら、ジミヘンやジャニス、ジム・モリソンみたいに死んでしまわず、ダメになっていったミュージシャンとしては、ブライアン・ウィルソンとスライ・ストーンが双璧なんじゃないですかね~。

もっとも、多くのビーチボーイズ・ファンがウィルソン兄弟のなかで一番早く死ぬと思っていたブライアンが兄弟たちの死を尻目に華々しく復活し、優れたソロアルバムを出し続けているのは、感動的な奇跡ではありますけど・・・。

で、肝心のスライ。

才能の枯渇とともに、行方不明だのホームレスになっただのと、ろくな噂を聞かなかったスライ。何年か前に初来日した時には多くのファンの期待をよそに、かなり投げやりなパフォーマンスを披露して、ファンを落胆させたって話は、以前このブログでも書きました。

映画では、スライの来歴とともに、インタビュー嫌いのスライを監督が追っていく姿が映し出されるんですが、ま、正直な感想としては、スライって、そもそも変人だったんだな~と。

バイク事故の影響なのか、現在のひどい猫背の姿もなかなかにエグいんですが、この人は人間性のレベルでも相当変わっているんだろうと、何となく思いました。そこが、ビジネスマンとしてもそれなりの成功を経験したジェームズ・ブラウンやプリンスとの大きな違いなんじゃないですかね。だって、エキセントリックなパフォーマンスを繰り広げるジョージ・クリントンですら、常識人に見えてくるんですから・・・。

で、この映画の本質的な部分にも関わると思うんだけど、監督がオランダ人でなおかつアマチュアっぽいところが、偏屈人間スライの胸襟を開かせたんじゃないかって、観終わったあと強く感じました。

なので、この映画のやや粗い作りは大目に見るべきだと思いますよ。でなきゃ、スライ本人を引き寄せることはできなかったと思います。もっとジャーナリスティックでプロフェッショナルなアメリカ人監督だったら、スライは警戒したんだろうし、あくまで推測ですが、アメリカのジャーナリストって相当たちが悪いんでしょう。だから、サリンジャー的、著名隠遁者がときどき出てくるわけですから。

というようなわけで、スライ&ザ・ファミリーストーンを愛してやまない音楽ファンは必見!村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』でこのグループを知っただけの人はどうなのかな・・・。極めてマニア向けだけど、現在進行形の伝説を見たい人向けの映画です。


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