切られお富!

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『ねじまき鳥クロニクル』 村上春樹

2004-08-23 00:06:17 | 超読書日記
オリンピックに興味がないので、ここのところ読書三昧。
で、読んでない本で長いものを読もうと思って、選んでみました。

村上春樹の本は主要な小説は読んできたし、特に『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は大好きでしたが、たまたまこの本は長いのと、出版された当時今は亡き安原顕氏が大酷評していたこともあって、未読でした。

 で、本題ですが…。最後まで読みきるまでは、「これは村上春樹の最高傑作では…」と思いながら読み進めましたが、最後がどうしても納得いかないのです。
 文庫本3冊で1,200ページ近くあり、おまけにいつもの春樹作品と違って、やや内省的なニュアンス(というかもっと言えば、今までと違って主人公がちょっとうじうじしている感じ。)があり、読みやすい春樹作品の中ではやや読みにくいのですが、意識と無意識を交信していくような第3部の文章テク、話題になったノモンハンや動物園の残酷な描写などなど、主人公の行動範囲の狭さからは考えられない小説としての濃密度。特にSFやハードボイルド的なストーリーテリングの楽しささえ相まった最後でこれは…。
 ちなみに、この本の元になった短編『ねじまき鳥と火曜日の女たち』(『パン屋再襲撃』所収)も読み返してみましたが、『ねじまき鳥クロニクル』の方が断然洗練されてますね。
 
 あと一歩でとんでもないところに連れてってくれそうな作品だったんだけど、あとは今後の村上春樹に期待というところ。(でも『海辺のカフカ』も未読なので…。)新作ももうすぐ出るようだし。
 まだ、読み終わったばかりで、整理のつかない感想でした。
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