切られお富!

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『証人の椅子』 山本薩夫 監督

2010-08-13 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
徳島ラジオ商殺しを題材にした冤罪物映画だけど、原作が開高健なんですね。観てなかったので観ました。簡単に感想っ。

冤罪物映画というと今井正監督『真昼の暗黒』とか熊井啓監督『帝銀事件 死刑囚』が有名だけど、こういう映画って、題材が題材だから真面目すぎてしまうきらいがある。

なので、名作といえる映画はなかなかないと思うんだけど、抹香臭さが少ないという点でこの映画は良いほうですね。

だいたい、良心的な新聞記者とか支援者なんかが出てくると映画が一面的になってしまうんだけど、この映画の場合、冤罪を晴らそうと活動するのが親戚だいうあたりが、切実感を増しているし、生活感があって他人事ではない雰囲気をかもし出している。

それと、主役の奈良岡朋子の熱演が光りますね~。『帝銀事件 死刑囚』の信欣三も凄いとは思ったけど…。

それと、変に凝ったアングルが時々あって、農婦の作業姿からぐっと奥の農家に寄って、最後に農家から農婦に戻る画面は妙に映画的だと思いましたね~。

なお、山本薩夫監督の本によると、原作の開高健は原作料の受取を断ったとのことでした(ちょっと、感動的でしょ?!)。

というわけで、興味のある方はどうぞ!

わたしは原作の『片隅の迷路』を読んでみようと思います。開高作品の中でも案外忘れられた作品かもしれない。

片隅の迷路 (創元推理文庫)
開高 健
東京創元社

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