切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

小谷野敦のアマゾン・レビュー

2010-02-23 23:59:59 | かぶき讃(トピックス)
最近知ったのですが、新書『もてない男』で知られる評論家小谷野敦が、実名でアマゾンのレビューを書いているんですね。これがほとんど、☆(ひとつ星)評価!で、わたしが注目したのは歌舞伎関連の本やDVDのレビューをいくつか書いていること。このひと、知る人ぞ知る歌舞伎通だったりするんですよね、それも相当辛口の!

たとえば、『研辰の討たれ』のDVDのレビューでは、

>こんな邪道歌舞伎でもやらなければ若い観客は呼べないのだということだろう。本来なら歌舞伎批評家が徹底批判しなければならないものだ。だが現実には・・・。歌舞伎も終りだな。

新書『十一代目團十郎と六代目歌右衛門』

>もうちょっと歌右衛門に対して厳しいものを想像していたら、そうでもなかった。私は1980年から歌右衛門を見ているが、猫背で悪声で、阿古屋をやっても楽器はみな下手で、いったいこれのどこが名優なのか分からなかった。

>歌舞伎は滅びゆく藝能であろう。今日、団十郎や菊五郎の大根ぶりがタブーなのかどうか、知らないが、歌右衛門が名人だったというのは、いったい本当なのかどうか。

と手厳しい一方で、絶賛している本もあって、

『秀十郎夜話』
>歌舞伎界の裏側を描いた名著である。歌舞伎の世界は御用評論家たちによって明るい表側ばかりが語られる傾向がある。こうした書物は貴重である。

『綱大夫の四季』(これは文楽の本ですが・・・。)

>山川静夫といえば、多くの人は、「アナウンサー」だと思っている。だが、むしろ山川は、かつての安藤鶴夫や戸板康二に匹敵する、古典芸能の評論家なのだ。(中略)本来、この書で何か賞をとるべきだったといえる。とうてい最初の著書とは思えない、逸品である。

『花の脇役』

>「歌舞伎が好きだ」という人ならぜひ一読すべき本である。(中略)これを読めば筋書きの見方も変わるだろう。こんな名著が文庫版で読めるのは、幸せである。

というわけで、このひとに歌舞伎の劇評を書かせる編集者はいないものでしょうか!わたしは読んでみたいなあ~。

なお、上記のレビューで推薦された本三冊はわたしも同意見!ただし、歌右衛門に関する評価なんかは賛同しかねますけどね~。

PS:その他、小説に関する評価はめちゃくちゃ辛らつ。映画に関しては、そこそこ詳しいみたいだけど、その鑑賞眼には疑問が残るなあ~。本を読んでる人で、映画も多少見てる人くらいの感じか・・・。

それと、愛すべき人ではあるかもしれないけど、愛しうるかどうかははなはだ疑問。なんか面倒くさそうな人に思えますからね~。

興味のある方はどうぞ!

・小谷野敦さんが書き込んだレビュー (東京都杉並区)

もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)
小谷野 敦
筑摩書房

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歌舞伎名作撰 野田版 研辰の討たれ [DVD]

NHKエンタープライズ

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十一代目團十郎と六代目歌右衛門―悲劇の「神」と孤高の「女帝」 (幻冬舎新書)
中川 右介
幻冬舎

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秀十郎夜話―初代吉右衛門の黒衣 (冨山房百科文庫)
千谷 道雄
冨山房

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綱大夫四季―昭和の文楽を生きる (岩波現代文庫)
山川 静夫
岩波書店

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花の脇役 (新潮文庫)
関 容子
新潮社

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