切られお富!

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『花舞台へ帰ってきた。』 吉田簑助/山川静夫 著

2007-02-19 01:51:13 | 恋する文楽
土曜日に、国立小劇場で素晴らしい吉田蓑助さんの舞台を見た後、売店で売っていたので買いました。帰りの電車でずっと読んでいたんだけど、目頭が熱くなってしょうがなかったなぁ・・・。文楽ファン必読の本ですね、これは!

同い年で、同じ時期に病に倒れた吉田蓑助さんと山川静夫さん。おふたりが励ましあいながら、復帰してきた道のりの記録がこの本なんだけど、一方で、文楽が失った貴重な人材への鎮魂の書物でもあるんですよね。

吉田玉男さんを筆頭に、竹本越路大夫さん、豊竹呂大夫、竹本緑大夫・・・。

大事なひとたちを失いながらも、病気と闘い復帰、素晴らしい舞台を見せてくれる蓑助さん。この本を読むと、あの華麗な、妹背山のお三輪がいっそういとおしくなりますよ。

ところで、この本ではBSで放送された康楽館での文楽公演の話が出てくるんだけど、わたしもこの放送は録画していて何度も見てます。この時は、「曽根崎心中」が出し物で、花道を使った新演出で、蓑助さんのお初と蓑太郎(現・勘十郎)の徳兵衛が客席近くで芝居をしていたんだけど、これはテレビで観ていても素晴らしいものでした。

そして、この放送では最後に山川さんがスピーチ、「わたしは文楽の人たちが大好きです。」という言葉には、胸が熱くなりましたね。これは、文楽ファンの共通の思いなんじゃないかな。

というわけで、素晴らしい本です。脳梗塞から見事に復帰したお二人のお話ですし、今リハビリされている方にも勇気を与える一冊ではないでしょうか。

歌舞伎座や奥村書店でときどきお見かけする山川さん。いつまでも、お元気でいてほしいですね。

吉田簑助と山川静夫花舞台へ帰ってきた。―脳卒中・闘病・リハビリ・復帰の記録

淡交社

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