切られお富!

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『下流社会 新たな階層集団の出現』 三浦展 著

2005-11-14 01:20:09 | 超読書日記
今、本屋さんに行くと平積みにされているこの本。話のタネに読んでみたんだけど、なんかむかつくな~なんて思ったら、筆者はセゾングループ出身なんですね。わたしと相性悪いはずだ!

この本は簡単に言うと、一種のマーケティング調査を基にした階層社会の分析本。なかなかに詳細な分析が繰り広げられるので、感心はするんだけど、意外性を感じる話は少なくともわたしには皆無だったし、内容からして詳細ではあっても精緻かどうかは疑問が残る。

というのも、そもそも筆者の人間観にわたしが違和感を覚えるからで、例えば以下のようなくだりをあなたはどう思いますか?

>「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ。(「はじめに」より)

ふ~ん、なかなか決めつけてくれますねって感じなんだけど、あちらこちらに筆者の妙なエリート意識が垣間見れて、こういうオヤジ、シンクタンクとかによくいるよねって印象。

因みに、このひと1958年生まれだそうなんだけど、この年代のオッサンで御託は多いけど仕事が出来ないのとか、上には何にもいえなくせに下には根性主義を振りかざす奴など、駄目オヤジをいっぱい知ってるから、いかにも分析能力を欠いたその手のオッサンの決めつけだなって気がしてしょうがない。(大雑把に言うと「新人類」といわれた世代に入るみたいですね。わたしは苦手なんだけど。)

というわけで、筆者のバイアスをわたしのバイアスで混ぜ返したってだけの感想になっちゃったんだけど、共感した部分もあることはある。それは、宮台真司が速水由紀子っていう、桜井亜美という名前で『イノセント・ワールド』ってゴミみたいな小説を書いた子持ちオバサンライターと別れて、20歳も年下の東大名誉教授の娘と入籍したことを揶揄した部分、

>いくら既存体制の破壊者を気取り、売春合法化を訴える人間でも、こと自分の結婚に関しては階層性の壁を打ち破ることができないという事実の何よりの証左であろう

というくだり。ここはしっかり笑わせてもらいました。因みにこの文章は「恋愛にも階層の壁ふたたび」というコラムに出てくるんだけど、この筆者って、『ホタルノヒカリ』っていう少女マンガは読んでるくせに、『だめんず・うぉーかー』は読んでないのって感じはしたかな。

あと、団塊ジュニア男性で「下流」は、フジテレビと自民党が好きっていうのも、あたってんだか外れてるんだかわからないけどおおいに笑ったな。

とりあえず、この本、プレゼンの資料のタネ本としては使えます。ただ、そのマーケティングが成功するかどうかは定かではないけどね~。

下流社会 新たな階層集団の出現

光文社

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