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船場吉兆と「細雪」

2008-01-12 22:20:08 | TVピープル
船場吉兆が民事再生法適用の申請をしたと聞いても、全然意外性は感じませんでした。会社更生法なら経営陣は総退陣しなければならないけど、民事再生法なら経営者は残れますからね~。で、そういえばって感じで、市川崑監督の映画『細雪』を見直したら、船場吉兆って何度か出てくるんですよね、この作品に!

「船場吉兆」次期社長、女将の佐知子取締役が内定(読売新聞) - goo ニュース

ご承知の通り、「細雪」といえば谷崎潤一郎の長篇で、大阪船場の商家の姉妹を描いた名作。没落したにもかかわらず、経済観念の希薄な姉妹たちは船場吉兆で食事をしたり、お弁当を頼んだりするわけですよね。

舞台は昭和10年代だから、戦争の影もちらほらするわけだけど、この頃くらいまでは戦前の上流文化って、健在だったってことなんでしょう。

そして、その頃ぐらいまでの吉兆は、偽装しなければならないほどの企業体じゃあなかったんでしょうね、きっと。

ところで、映画の方は中の上くらいの出来ですが、たいした事件の起きない原作を扱っている割には、なかなか見せてくれます。

岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川裕子の女優の共演ばかりが話題になりますが、伊丹十三、石坂浩二の好演が光るし、今年襲名を控える桂米朝の息子・小米朝が大阪の放蕩息子を見事に演じています!

さて、映画と原作では終わり方が違うのですが、原作の方では三女雪子の下痢で終わるんですよね。

谷崎作品にしては変態度が薄いといわれるこの小説ですが、映画では吉永小百合がやった役を下痢にしてしまうんですから、谷崎は油断がならない!

「細雪」という作品は、家族の変化を通して<時間の経過>を表現した小説だとわたしは思うのですが、船場の商家の没落と一定の時間差をおいて、船場吉兆の崩壊のニュースを聞くのは、変な感慨を持ちますよね~、なんとなく。

・「犬神家の一族」市川監督&石坂で復活 (わたしの過去の記事)

細雪

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