切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『不連続殺人事件』 坂口安吾 著

2009-08-27 19:30:00 | 超読書日記
ここのところ、ちょっと安吾関連の再読をしているのですが、長らく読み返していなかったこの推理小説を読み直しました。簡単に感想っ。

推理小説って、子供の頃人並みに読んだくらいで、最近は読まないんですよね~。(といいつつ、骨折していたときは松本清張を読んでいたけど。)

で、この作品もむか~し、横溝正史のエッセイに出てきたので読んだのが最初。

以来、読み返していなかったのですが、たぶん、むかしはよくわかっていなかったですね~。というのも、この戦後の爛れたデカダンな雰囲気は、子供には絶対判らない!

で、どんな話かってあたりは、面倒なので以下にアマゾンのサイトの説明を引用します。

>戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、世にも恐るべき、八つの殺人が生まれた!不連続殺人の裏に秘められた悪魔の意図は何か?鬼才安吾が読者に挑んだ不滅のトリック!多くのミステリ作家が絶賛する、日本推理小説史に輝く傑作。第2回探偵作家クラブ賞受賞作。

とにかく、戦後の退廃気分と芸術家気取りの人々の群れ…。

なんだか、探偵も含めてまともな人が一人もいないのですが、これが時代の気分だったってことなんですかね~。

この小説って、発表当時、犯人を当ててみろといわんばかりに、有名作家宛(江戸川乱歩など)に挑戦状が送られたって話ですが…。

で、わたしの再読の感想としては、確かに面白かった!

少し登場人物の人数が多いし、人間関係が複雑なので最初の方を何度か読み返してしまいましたが、結末の人間心理を深読みした解釈がいかにも坂口安吾らしい。

ただ、文章は少し俗悪を狙った感じで、名作「白痴」や「わたしは海を抱きしめていたい」みたいな詩情溢れる文章とは違うんですよね。そこがわたしは物足りなかったりもするんだけど…。

でも、これは、「華麗なトリック」の推理小説は全然リアリスティックじゃないという坂口安吾の推理小説観とも関係しているんでしょうから、狙いなのかもしれませんがね~。

なお、この作品は映画にもなっていて(「天使のはらわた 赤い教室」の曽根中生監督)、内田裕也が主演だったんですよね~。わたしは観てないんだけど…。

不連続殺人事件(1977) - goo 映画

というわけで、けだるい夏の読書にどうぞ!

なお、坂口安吾の推理小説が気に入った方は、「安吾捕物帖」シリーズをオススメします。!なかでも「万引一家」は傑作!

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