切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『舞姫 テレプシコーラ』 ①~⑩ 山岸涼子 著

2007-05-13 23:59:59 | 超読書日記
先日、『一瞬の風になれ』という本が期待はずれでズッコけていたところ、気分一新の凄い本に出合えたという感じ。手塚治虫文化賞の大賞に選ばれたこの作品は、山岸涼子にとっても、少女漫画界にとっても久々に会心の作品だったんじゃないかな~。わたしなんか、10巻まで一気に読みきって、いまだに興奮が冷めやりません!

ネタバレは避けたいので、ざっくりしたことしか書きませんが、この作品はバレエ・ネタの作品で、出来のいいお姉さんの千花(ちか)と妹の六花(ゆき)の姉妹を中心に、バレエの世界の競争を描いています。

たまたま同時期に、一条ゆかりが『プライド』という作品で、オペラという題材を扱っていますが、ここへきて、少女漫画界の巨匠二人が、いかにも少女漫画らしい設定であるバレエやオペラという世界に戻って、それぞれの本来の特徴を生かした力作を発表しているのは、何か象徴的な感じがします。

一条ゆかりの場合は、女の戦いを描いても、何かマッチョな、いかにも一条ゆかりらしい猛々しい戦いを表現していくのですが、山岸涼子の場合は、人間の恐いところを覗き込むような凄みがありますね。

(たとえば、最初に登場する空美という女の子の設定はちょっとエグ過ぎ。このマンガが少女誌でなく、文学寄りの雑誌「ダ・ヴィンチ」連載だったから、書けた設定じゃないかな?)

以前も書いたんだけど、わたしは山岸作品では『日出処の天子』が大好きで、いまだに全巻トイレに常備しているほどですが(!)、『舞姫 テレプシコーラ』を読み始めたときには、「いいんだけど、『日出処~』には及ばないかな」なんて正直思ってました。

でも、わたしが甘かった。最後の10巻を読んだところで、ぐぐっと掴まれてしまって、いまだに喉に骨が刺さっているような気分になっています。この"骨"を取り除くには、続巻である第二部を読むしかないのでしょうが、いったいどうなることやら~。

早く続きが出ないかな~。絶対オススメです!

因みに、この作品で俄然バレエの世界に興味を持ちました!そういうひと多いんじゃないかな?

PS:そういえば、一条ゆかりと「摂理」の関係って、どうなっちゃったんですかね?

・「摂理」とプライド?

・『プライド』① 一条ゆかり 著

舞姫(テレプシコーラ) 1 (1)

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