切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

ベニス、カサノバ・・・。

2006-06-11 04:14:22 | アメリカの夜(映画日記)
今度、「ショコラ」なんかで有名なラッセ・ハルストレム監督で再び映画化され公開も近い、ベニスの司書カサノバの人生。たぶんこの映画は観に行かないんだけど(笑)、稀代の色事師カサノバといえば、ベニスにある彼が投獄されたという牢獄を思い出しちゃうんですよね。

ベニスに旅行した際、サン・マルコ広場にあるドゥカーレ宮殿に行ったんだけど、ここが問題の牢獄に繋がっている。

わたしの第一印象では、これはとても人間のいる場所ではないなって思った。大きな石で囲まれた馬小屋みたいなところ。パリにあるマリー・アントワネットが入った牢獄(コンシェルジュリー)も行ったことがあるけど、コンシェルジュリーはチクチク神経をやられそうな感じで、ベニスの牢獄はすぐに気が変になっちゃいそうな牢獄。こんなところを脱走したカサノバって凄いなっていうのが、そのときわたしの思ったことでした。

「一人の男が根気よく計画を練り、ひたすらそれに努力を傾注すれば、どんな困難があっても必ず成功するものだ」
「充分に時間をかけ、必要なだけの勇気と冷静さがあれば、トルコの大臣にもローマ教皇にもなれる。王政を粉砕することすら可能だ」

これらはカサノバ本人の言葉なんだけど、五年もの歳月をかけ、あの石牢を脱獄したカサノバって強烈な「意志の人」だったってことなんだろうと思う。で、そんな男だから稀代のナンパ師だったってことのなのか…。

ナンパ師っていうとイメージが悪いけれど、牢獄の事を思い出すと、只者ではなかったカサノバっていうひとが少しカッコよくに見えてくるんですよね。

ベニスが好きなので、ベニスを舞台にした映画はついつい観てしまうんだけど、観光映画としては優れている「旅情」、退廃的な「ベニスに死す」、期待したわりにはいまいちだった「鳩の翼」などがあって、今度の「カサノバ」もベニスの魅力を伝えてはいるんでしょう。

因みに、フェリーニの「カサノバ」はチネチッタでの全編セット撮影。凄い映画美術作品で、観るたびにため息が出ます。

さて、カサノバ本人に関しては、『物語イタリアの歴史』(中公新書)のなかの、「司書カサノーヴァの物語」が詳しいので興味のある方はそうぞ。

PS:画像は冬のベニス。左がドゥカーレ宮殿で、わたしが滞在していたときの午前中は、いつもサン・マルコ広場は水浸しでした。だから、人が通るための台が写ってるでしょ。

物語イタリアの歴史―解体から統一まで

中央公論社

このアイテムの詳細を見る


旅情

ビデオメーカー

このアイテムの詳細を見る


ベニスに死す

ワーナー・ホーム・ビデオ

このアイテムの詳細を見る


鳩の翼

ジェネオン エンタテインメント

このアイテムの詳細を見る


フェデリコ・フェリーニ セレクション

紀伊國屋書店

このアイテムの詳細を見る
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ローマの休日』と映画の著... | トップ | 本日、歌舞伎座におりました。 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
フェリーニのカサノバ (brusque)
2006-06-11 18:10:28
以前、平凡社刊、バクスター著の評伝「フェリーニ」を読んで、あの映画の撮影のさいフェリーニの苛め?に翻弄されたというサザーランドがとても気の毒に思えてしまいました…。



カサノヴァは膨大な回想録が有名ですが、その全巻が60年代に刊行されて再評価され、映画製作のきっかけともなったとありました。
返信する
コメントありがとうございます。  (切られお富 )
2006-06-13 00:22:19
こんばんは。



フェリーニって、カサノヴァという人物に共感できなくて、サザーランドにあたってしまったって言われてますよね。でも、最後にはどっかしら共感できるようになったんじゃないかな?



だって、映画は素晴らしいですもんね。



公開当時は不評だったそうですが、哲学めいたものより、こういう作品の方がわたしは断然好きです。



フェリーニはたいした哲学者じゃなかったと思うけど、たいした詩人ではあったんじゃないかって、わたしは思うんですけどね~。



それと、サザーランドの唯一の汚点は「落陽」っていう日本映画に出ちゃったことじゃないかな…。
返信する

コメントを投稿

アメリカの夜(映画日記)」カテゴリの最新記事