切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『夜は短し 歩けよ乙女』 森見登美彦 著

2007-05-31 23:59:59 | 超読書日記
これは久々に面白かった。本屋大賞第二位ということで、話のタネに読んでみたんだけど、滅茶苦茶巧みな本ですね。一位の本より断然オススメ!

・一応、本屋大賞一位の本の感想。

「大学生の男の子が一目ぼれした後輩を追いかける話」というのが、この本の簡単なあらすじですが、どこかとぼけた味があるし、話の縦糸以上に細部が面白い。

京都の大学生が主人公ということで、京都の風物が織り込まれているこの小説だけど、近年の作家には見られないそこはかとなく漂う教養(たとえば、古本市のくだりで出てくるロレンス・ダレル!の「アレキサンドリア四重奏」!そういえば、「黒い本」も復刊したね!)が何だか小気味いいし、実際の大学生がこういう小説を書いたとしても、こんな感じの作品にはならないんじゃないかなって思えるある種の余裕、引いた感じもいいんですよね。(そういう意味では、現代の京都版「三四郎」といえなくもないか・・・。)

あんまり、ネタバレになることは書きたくないので、詳しいことは書かないけれど、本の装丁どおりのヒロインの可愛さが、わたしにとってはこの本最大の魅力でしたね。(もっとも、体感的に言えば、<男性作家の書いた女の子>だといえなくもないんですけど・・・。)

ところで、この作品って、実写映画化は難しそうだし、つまらなくなりそうだから、『千年女優』の今敏監督でアニメ映画化してくれたらわたしは絶対観るなあ~。

・以前『千年女優』について書いた記事

そんなわけで、文学好きというより、『うる星やつら』が好きなアニメ・ファンには、特にオススメです。

あと、蛇足ながら、この小説の主人公の男の子って、ウィーザーってバンドのリヴァース・クオモに何だか重なっちゃってしょうがなかったなあ、わたしは。それと、この作品の雰囲気って、絶対尾崎翠っていう戦前の女流作家の感じだなって気がするな。もちろん、作者は読んでるはずだろうけど・・・。

PS:京大生って、みんなこんな感じなんですか?

夜は短し歩けよ乙女

角川書店

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<参考>
尾崎翠

筑摩書房

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