切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『コクリコ坂から』 宮崎吾朗 監督

2011-07-28 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
困ったな…。素直な感想。

ネタバレしないように書きますが、紙芝居みたいな映画ですね。父親や他のジブリの監督だったら、もっとディテールを豊かにすると思うんだけど、一枚絵の組み合わせで、ほんと紙芝居みたいだった。この印象って、『ゲド戦記』のときも同じでした。(具体的にいうと、父親の作品なら、もっと風が吹いて草木が揺れたりする。人物だって、アニメらしい動きがつく。たとえば、走るシーンとか高いところから飛び降りるところとか…。)

原作の少女マンガはいかにも昔の少女マンガって感じで、わたしは途中で挫折。その意味では、父親の脚本は見事に原作をジブリ・ワールドに変換してると思います。だからこそ、演出が問題だったんじゃないのかな?

ヒロインの淡い恋が全然生きてないし、学校の風景もいまいち突っ込めてない。どっちつかずなんですよ。

それと、日活時代の吉永小百合の映画を参考にしてるというんですが、少なくともわたしは全然そんな気しませんでしたね。吉永小百合主演作って、もうちょっと彼女自身の役に突っ込んだ演出を入れてたもの。

それに、「上を向いて歩こう」の使い方が、なんだか平板。高畑勲だったら、うまく演出したと思うんだけどなあ~、だって、『おもひでぽろぽろ』の「ひょっこりひょうたん島」をヒロインが歌う場面、凄かったですものね!

わたしが観たときは、周囲の子供たちも「つまらなかった!」って言ってたし、子供にも大人にも面白くはなかったんじゃないのかな?

ということで、監督はプロデューサー向きなんじゃないかな。演出やる人って、風とか仕草とか音にもっとこだわるものです。普段、映画とか芝居をたくさん見てたら自然とそうなります。やはり、異業種から演出家になるのは難しい…。

ちなみに、実写映画版『上を向いて歩こう』(舛田利雄監督 吉永小百合、浜田光夫、坂本九、高橋秀樹 出演)は映画として隠れた名作です!興味のある方はどうぞ!


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2 コメント

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ジブリの後継は (なおき)
2011-07-31 15:50:46
ジブリの後継者は、本当なら近藤喜文になるはずだったんだけど、早世しちゃったからねぇ・・・

上を向いて歩こうは、こんど某社から出るらしいね。

日航機事故のあとに、テレビで深夜に放送してたなぁ。。。。
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コメントありがとうございます。 (切られお富)
2011-07-31 23:39:45
>なおきさん

近藤監督の『耳をすませば』は、わたしも好きな作品です。

映画『上を向いて歩こう』は以前ビデオが出ていて、わたしはビデオで観たのですが、冒頭のカット割りなんか『ウエストサイド・ストーリー』に勝ってます!

この頃の舛田利雄監督は冴えていた!『赤いハンカチ』で語られてしまうのが間違いの元ですね。監督本人も、坂本九の感のよさをインタビューで褒めています。

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