第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

Quality Improvementの為のデータと、運営の為のデータと、研究の為のデータとベンチマークについて

2020-10-16 12:21:09 | Harvard medical school

みなさまこんにちわ。

最近ようやく、QIの本質と臨床研究との違いについてぼんやり理解ができるようになって面白くなってきました。

臨床研究もありがちなとりあえずデータとってやればええやん!!では、全然ダメ!!なのと一緒で

QIも本当に理解して実施、implementationしないとダメと言うことが今更ながらわかりました (遅すぎです)。

ちょっと愛する日本、これは周回遅れの危機感を感じます。

 

また最近気づいたのですが、この分野のfacultyの多くは女性で、しかも殆どはホスピタリスト(病院総合医)や内科医で、稀に小児科・麻酔科のバックグランドをお持ちの先生が多いです。今受けている授業で考慮すると80%が女性教員です。なぜだろう?と考えたのですが、やはりコミュニケーション能力が高く、全体のことを考えながらうまく柔らかく行動を起こして改善していくには女性の方が向いているのかもしれませんね。

 

さて、今日は

QIの為のデータと、運営の為のデータと、研究の為のデータについての違い。

なぜ測定することが重要であるか!? と言う答えにはすでにLandmark reportの下記論文で述べられています。質の改善のためにはベンチマークが必要で、そもそも測らずして改善は期待できないと言うことになります。Mustです。そのプロセスとしては上記の七つのステップを踏みます。

データと集めると言うと、なんとなく研究ばかりが注目されるのですが、実際にはaccountability(適切な訳がないのですが運営やマネージメントのために説明するために使っている事をいいます)には毎日のように集めては月1回、年一回など会議で使用されていますよね。研究の方のcollecting dataはいつも考えている事なので割愛するとして、Quality improvementとの違いは下記の内容になります。これがおそらく世界でもっともシンプルに3つのデータの扱いの違いを示している表になると思います。

また、下記のように

"In the current climate of public accountability, many clinicians have become uncomfortable with any efforts to create measurement systems. This is unfortunate because measurements are absolutely essential to efforts for improving the processes of medical care. In Minnesota, work has been conducted with clinicians on measurement pursued for accountability, improvement, and research. " *

多くの医師は、情報を集めることに抵抗があるかもしれないと1997年で記載されていますが、2020年現段階でもなかなか我が国では進んでいません。

未だ診断エラーのデータ収集やadverse event等の色々なことも測定することがメリットにしかならないと言うことを理解しないと難しいかもしれません。やはり、責任問題というか、国民性というか、文化の違いも感じます。

極論すると5W2Hが違うと言えるのかもしれないと気づいてしまいました (笑 いやそりゃそうだろね)。

なので、Quality improvement の発表・学会、論文などは臨床研究のデザインや手法や発表形式と全然違ったりします。多くはオーバーラップするのですが。

このあたりの厳密な学問としての違いを、将来的に日本のHospitalist 現場に持ち込めたらすごく面白いだろうなと考えています。

Reference) 

*The Three Faces of Performance Measurement: Improvement, Accountability, and Research": https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1070324116303054

QIするための根本原則 教科書”The improvement guide”より

1:なぜそれをしなければならないか?明確な理由を持っておく

2:改善したかどうかを知るための指標を持っておくこと

3:こうすればよくなるだろうと予測されることを実施すること。

4:実際に実施する前にテストして評価しておくこと。(そのためのPlanを明確に作成しておくこと。)

5:Implementationする

QI活動を強力に展開するために必須の6つのスキル !!

Supporting change with data: What is meant by the term data? How can we use data to guide actions for improvement? データの意味は何か?データをどのように活用できるか。

Developing a change: Where do ideas for change come from? What should we consider when trying to develop change aimed at a long-term positive impact? 改善のため動くことが必要な根拠は何かわかる、長期的に良い方向へ影響を与えていくために実施する時に考慮すべきことを知っている。

Testing a change: Why should we test a change? Can we increase the possibility a change will result in improvement? 改善のためのテストをすべき理由を理解していて、その結果から成功の確率をあげることができる。

Implementing a change: What is the difference between implementing a change and testing a change? What can we do to sustain the positive impact of a change? 変化を評価することと、変化を導入することの違いを知っている、また良い結果はどのように維持するか知っている。

Spreading improvements: How can we get wider impact from successful change? How do we attract others to make the change? 成功した介入を他へ広げることができる、どうすれば他者に興味を持ってもらえるか知っている

The human side of change: How will the change affect people? How do we obtain the cooperation necessary to make and sustain improvements? 変化はどのように受けてに影響を与えるか?維持するための協力をどのように得るか実践できること。

 

*テキスト Langley, Gerald J.. The Improvement Guide . Wiley. より

 

ベンチマークがなぜ重要か?!米国の国レベルでの徹底的なベンチマーク   *引用よりまとめ

Benchmarking is the process of measuring an organization’s internal processes and identifying, understanding and adapting outstanding practices from other organizations with similar processes considered to be Best in Class. Benchmarkingは組織内部プロセスを測定し、そのクラスで最も優れていると考慮される同様のプロセスを持つ他の組織から参考点を探し出し、理解し、そして適応させるプロセス。

ベンチマークが成功するために4つの必要なこと。

• Leadership commitment :リーダーが率先すること!

• Experience with continuous quality improvement: CQIの経験があること

• Preparation of the organization:組織全体で準備すること

• Identification of key processes:KPIを同定すること

なぜ、比較する必要がある? Goals and objectives to examine here include:

Major improvements 大きく組織とケアの質を改善させるため

Positioning your services in the marketplace 医療マーケットの中での立ち位置を知る

Defining your competitive advantage  比較することでのアドバンテージを確認する

Reference) *The Benefits of HealthcareBenchmarkingHow To Measure and Beat the Competition

 

 



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