******
編集長・・。
お客様です。
ええ。
なんでも亡くなられた水上千絵さんの遺作を出版したいとのことで、ご家族がおみえになっています。
はい?
・・・・・・・・・。
ああ、作品タイトルは「箱舟(三部作)」だそうです。
はあ?
ああ、・・・・そうですか。判りました。
***********
水上千絵の家族が、ほかの出版社に「箱舟」をもちこまないためにも、
私は「箱舟」をあずかった。
「ほかに、ブログなどに発表されていませんよね?
発表されていた場合、版権の問題がしょうじますので、
あったら、削除なさってください。
元の原稿もこちらで、保管させてください。
ええ、ワードなどに書いてある物も完全消去願います。
著作権は刊行本によって、証明されます。
この著作権利に対し、売り上げの8%の印税をお渡しします。
ところで、お母様は「箱舟」をおよみになりましたか?」
うなづく母親をみながら、私は好都合だと思った。
しばらくのちに、私の仲間が母親に寄生していくだろう。
原稿を消去したあとに、箱舟が刊行されないことにきがついても、
母親は、寄生生物のいいなりになるしかない。
逆らえば、命がなくなる。
そう、私も同じ、命をなくしたくはない。
ー終ー
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます