ユニクロ(ファーストリテイリング)の実質的な創業者にして、現在も総帥として君臨する柳井正氏。
素晴らしい経営者であることは、疑いがない。
だが、どこが素晴らしいのかと問われると、即答はなかなか難しいものだ。
そんな氏の一面が、日経ビジネス誌で垣間見えた。
◆フリースもヒートテックもこうして生まれた
その発端は、ビジネス誌に掲載された、東レ社長の繊維産業の流通改革論だった。
それは、日本では斜陽産業とみなされていた繊維産業は、世界ではすごい勢いで伸びている、製造と流通を一体の産業として捉え、
工業的な発想で取り組めば、流通コストの低減が図れる、というものだった。
この言葉が深く心に刺さった柳井は、ただちに東レ社長のアポを得る。
東レとしても、当然に否やはない、そしてそこで語られたことがこれだ。
驚くなかれ、東レとのトップ会談に、柳井は全取締役を同行した。
そしてその場で、御社にユニクロ専門部署を設立してほしいと申し出、東レも即座に快諾した。
その理由がこれだ。
東レは4つのコア技術を持つと自負していた。
高分子化学・有機合成化学・バイオテクノロジー・ナノテクノロジーがそれだ。
だがいかに技術を持っていても、それを商品化できなければ絵に描いた餅だ。
ユニクロとの出会いで、最終顧客という出口を見つけた東レは、
以後ユニクロと共に次々とヒット商品を生み出していくこととなるのだ。
→なるほど、すごい方です。