今日は、作家の宮本輝氏の自己体験談から。
彼は、三十代のころにパニック障害にさいなまれていたそうだ。
医師は典型的な不安神経症ですと診断し、モーツァルトもアインシュタインもそうでしたから、そのうちに治りますよと言ってくれた。
だが治ったと自覚できたのは六十代になってからで、およそ30年間も病気と付き合ってきたことになる。
その経験から、感じたこととは。
◆悪いことが起きるのは思いがけない善いことが訪れるために必要な前段階
一つの山の頂上に立った、そこからさらに高い山に登るためには、直線の道はなく一度その山を下りなければならない。
下りることはたしかに辛い。
頂上にいるときにはわからない想像を絶することさえある。
だけど、そこでのたうち回りながらも乗りこえて、また麓から新たな山頂にたどり着けば、最初とは違うまた大きな喜びが得られる。
そう、一度谷を下りないと、次の峰には行けないのです。
これは道理であり、僕が命の危機を感じながらつかんだ感覚なんです。
→そっか、悪いことが起きてもそう考えればいいんですね。