作家の佐藤愛子女史の気づきだ。
女史は別荘(山荘)を所有しているそうだ。
そしてそこには、毎年夏が来ると行くことにしている。
ある年に、例年とは異なる五月に所要があって山荘を訪れた。
そこで気づいたこととは。
◆まことの花のまことの咲きよう
その山荘には、500mほども山道を登るそうだ。
だからおそらく、佐藤家の人々以外は誰も訪れることはないはずだ。
と、思いがけず庭の赤いものが目に入った。
あっと思った、源平ウツギだった。
いつだったか忘れてしまったのだが、知人に山荘の庭が寂しいと伝えたところ、
これならいいでしょうと源平ウツギを植えてくれたのだ。
そのウツギが、名前通りに赤と白の花を咲かせていたのだ。
おそらくその後、どの年も毎年源平ウツギは律儀に花を咲かせていたのだろう。
しかし、佐藤女史が山荘を訪れるのは夏だけだから、花を見たことは一度もなかったのだ。
源平ウツギは誰もいない庭で、風にも負けず凍てにも負けず、
季節の巡りにしたがって無心に花を咲かせていたのだ。
そのウツギの健気さに胸を打たれる。
花は人に見られようとして咲くわけではない。
極めて当たり前のことを、改めて思い知った。
花は人のためではなく、自分自身のために咲くのだ。
誰もいない庭でひとり咲いて、ひとり散っていくのだ。
このまことの花の咲きよう、人はどうだろう・・・
→そう 人も同じなのかもしれませんね。
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