矢嶋武弘・Takehiroの部屋

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消費税とは、弱肉強食の“悪魔の税”なのか

2025年01月02日 04時52分56秒 | 経済・エネルギー・原発

〈だいぶ前に書いた以下の記事を復刻します〉

消費増税法案が衆議院で可決され参議院に送られた。現行の5%を10%に引き上げていくのだが、日本経団連などは段階的に17%への増税を提言しているほどだ。いずれも、将来の社会保障制度を維持するためには、消費税の増税が必要だといったことを主張している。
たしかに、年金や医療などの社会保障制度は重要だが、われわれ庶民はすぐに物価高になることを心配する。これは当然だろう。賃金も年金も増えないのだから、消費税の増税で物価高になるのは困るからだ。ところが、われわれ庶民が困るよりも、はるかに打撃をこうむる人たちがいることをご存知だろうか。それは中小・零細企業の事業者たちである。
 
あるブログでそうした話が本当だと聞き、私は紹介のあった『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)という本を買って目を通した。この本は斎藤貴男(たかお)さんというジャーナリストが著したものだが、一読して驚いた。

巨大な輸出企業がいわゆる「輸出戻し税」で、仕入れにかかった消費税分を還付してもらっていることは知っていた。これは、車でも電気製品でも輸出先の外国では消費税を取ることができないから、仕入れにかかった消費税5%分を国から戻してもらうというものだ。
一見、当たり前のように思えるが、ところが実態はとんでもないことになっている。誰もが想像がつくと思うが、車などを販売するメーカーは価格競争で少しでも安く輸出先に売り込もうとするから、部品などの仕入れ先である下請けの中小・零細企業に対して、徹底的にコスト削減などを求めるのだ。
そうすると、下請け企業は弱い立場にあるから、時には利益を度外視して、消費税分についても“自腹を切る”ことがしょっちゅうあるというのだ。本来は発注企業が消費税5%分を払うのだが、実態は下請け企業が被っているケースが多いという。
それが事実なら、輸出大企業であるメーカーなどは、自分が実際には払っていない消費税5%分を後で国からもらえるから、大儲けになるという仕組みなのだ!
 
こういう実態があると知って私は驚いた。それなら、消費税が上がれば上がるほど、輸出大企業は“悪どく”儲けることができる。税率5%が10%になれば、単純計算で2倍の“不労所得”になるというわけだ。困るのは下請けの中小・零細企業である。いざ税金を納めようとする時、思ってもみないほど徴収される形になる。
これは、中小・零細企業の事業主も認識不足の点がある。発注大企業の言いなりになっているからそうなるのだ。ところが、下請け企業は極めて弱い立場にあるから、仕入れの段階などで大企業に強いことが言えないのが実態である。
この結果、年度末になると思わぬ赤字に直面して、中小・零細企業の事業者は“真っ青”になってしまうのだ。斎藤さんの本によれば、こうして経営に行き詰まり、自殺する事業者が後を絶たないという。
 
それで分かった。日本経団連が消費税を段階的に17%へ引き上げよと言うのは、社会保障制度のためというより、輸出大企業が大儲けするための提言なのだ。
2009年分の消費税還付金(輸出戻し税)は、トヨタ自動車を筆頭に輸出大企業10社で、総額8014億円に上るという。(以下に、参考記事をリンク・・・http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/shouhi/101115-01/101115.html
笑い話にもならないが、リンク先の記事にもあるように、還付金が多過ぎて消費税収入が“赤字”の税務署は、トヨタ本社のある愛知・豊田税務署、日産自動車の本社がある神奈川・神奈川税務署、マツダの本社がある広島・海田税務署、本田技研工業の本社がある東京・麻布税務署、パナソニックの本社がある大阪・門真税務署などとなっている。
 
要するに、消費税のお陰で、輸出大企業はウハウハの大儲けになっているのだ。消費税をどんどん上げろと言うのも分かる気がする。しかし、それによって生活が苦しくなるのはわれわれ国民であり、さらにそれ以上に、輸出大企業の下請け企業が困窮してくるのだ。
消費税が10%に引き上げられれば、中小・零細企業の自殺者がさらに増えるだろう。また、自営業が倒産すれば失業率はもっと上がる。詳しいことは斎藤氏の『消費税のカラクリ』を読んでもらえれば分かるが、これほど“弱肉強食”の税制は他にない。
ある専門家が消費税を「悪魔のような税だ」と言ったという。これは誰からも必ず取り立てることができ、法人税と違って、赤字企業からも必ず取ることができるからだ。 消費税を払える人は良いが、赤字に苦しんでいる自営業者が滞納額だけ増えて自殺するケースは多い。
本日は消費税の“負”の部分を述べたが、これからも適宜、消費税問題を取り上げていきたい。


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6 コメント

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消費増税で増収は大嘘 (如月)
2012-02-29 15:59:59
矢嶋さん この事はあまり報道されていませんが、現実ですね。このデフレ状態で増税しても、消費が下がり減収に成ります。ギリシャ、イタリアは元々20%の消費税でしたが、破たん財政が破たん状態に成り23%に上げたそうです。ざるの様な行政の無駄遣いをなくし、国の体質を変えない限り、デフレ状態でいくら増税しても逆に、経済が委縮して、財政が破たんへと向かうと思います。一時喜ぶのは、国から税を戻される輸出企業だけと思いますが、それもほんの一時だと思います。自国が衰退してはいくら海外移転しても、日本と云う国が信用されなくなると思います。
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ご意見に賛成 (矢嶋武弘)
2012-02-29 16:12:45
橋本内閣の時に消費税を5%に引き上げ、増収になるかと思ったら、逆に減収になりましたね。まして今は深刻なデフレ状態です。間違いなく減収になるでしょう。
国の体質を変えると共に、効果的な経済政策を取らないとますます経済が萎縮すると思います。
今の野田政権ではとても無理でしょう。政権を変えるしかありません。
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こちらへお邪魔します (竹原渡風)
2012-02-29 17:49:06
yahooは本当に残念でした。
今日から、こちらへ時々お邪魔します。
これからもよろしくお願いいたします。
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このことを知らない国民が多いですね (country-gentleman)
2012-02-29 18:28:21
矢嶋さん
「社会保障制度を維持する」
これはすり替えのゴマカシで一種の詐欺的増税ではと思っています。
私も年金暮らしですが、アルバイトで収入があれば、いろいろなものを買います。
広い意味で収入が上がる、所得が安定してあれば人は行動という移動でそこに経済活動が活発になるわけですが、財務省というのは悪妻のようなもので、旦那の会社がどうなっても月給だけは決まった金額を家に入れろ!と言っているようなもので、会社が倒産しかかっているのに、そんなこと私に関係無い。
ということですね。(怒!)
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竹原さんへ (矢嶋武弘)
2012-02-29 18:33:36
小生は新参者です。こちらこそ宜しくお願いいたします。
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財務省は悪妻 (矢嶋武弘)
2012-02-29 18:45:02
ジェントルマンさん、財務省は悪妻とは笑っちゃいますね。財務省の中にも増税派と財政出動派がいると聞きますが、やはり増税派が力があるのでしょう。
深刻なデフレの状況下で増税をすれば、消費は低下し経済が窒息するのは目に見えています。如月さんが言う通りだと思います。増収には決してならないでしょう。
消費税が初めて導入された時も、高齢化時代に社会保障を維持すると喧伝されました。しかし、保険負担料などは逆に増えましたね。社会保障の実態は劣化しました。
あれこれ名目をつけて、増税をごり押しするとしか思えません。
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