いつ頃買ったかわからないのだが 再読。楽園のしっぽ 村山由佳著 文藝春秋刊 2005年初版 著者は直木賞作家なのでご存知の方も多いだろう。あたしは彼女の小説が読みたくて買ったわけではないし この本は彼女が 房総鴨川で田舎暮らししている時のエッセイである。週刊文春の連載をまとめて単行本にしたもの。実はこれ本棚から外す前に再読したら意外な発見があって結局戻した。村山氏は長野から鴨川に坪1万で600坪買って田舎暮らし始めようとしたんだが まあ若い人にとっては土地だけで600万は大金だ。結局 そこは地すべり警戒地域でローンが組めなくて他を買うわけだが。あたしも30代の始めに村山氏より少し多いが山梨甲府から車で1時間の元開拓の跡地を買って山暮らしを始めたクチだ。当時 大手総合電気でマイクロコンピュータを使った産業計装 まあ水道やら原子力だのの自動制御をするためのプログラムを書いてたプログラマだったが 遅くまでコード書いて部屋には寝に帰るだけ。で もう完全に息苦しくなって まあその当時も精神科に通いながら治療しながら仕事してたわけだが もうどうしようもなくなってもがいてた時代だ。で ミニコミ誌で売り広告見てすっ飛んで行って気に入って決めて買った。そこには先住のライディングクラブやってて 自宅も古枕木で自分で建てて住んでた田舎暮らしの先輩がいたわけで その人を気に入って買った。当時木工の知識なんかほとんど無かったから彼に教えてもらって家を建てていったわけだが・・・そのあたり この楽園のしっぽと驚くほど似ている。作家の書いた田舎暮らしの本・・て大概別荘暮らしの話になるわけで 前にも書いたライターの某永江朗氏は完全に京都の別荘である。金にものを言わせて別荘買って優雅な別荘ライフを送ってる人は別の世界の人なんで なんだかなー・・と思うのだが村山氏は旦那と二人でゼロから作り上げてる。もうこれだけであたしの師匠と同じ。彼は馬と建築と革工芸だが。まあ 同じ物書きの生き方でもこれだけ違う。あたしは村山氏と同じような田舎暮らし まあ農場はやってないけど してきたから思うわけで 某永江氏はなんだ?とか思うのである。まあお金があるから好きに使えばいいんだが あたしらの生き方とは大きく違うな・・と思う。あたしも結局20年近く山暮らしと東京での仕事を両立させてきたが 京都に戻りたくなってうろうろしてる間に倒れて大手術して もう山暮らしができない体になった。山梨で倒れたら今度こそ命が無い。村山氏や師匠の暮らしは理想的だが大病したり体力が落ちたり歳をとって車に乗れなくなったら 生活そのものが維持できなくなる。で あたしは泣く泣く山暮らしから足を洗いつつあるのだが・・仕事をロストした今となっては病院以外東京にいる意味すらない。なので京都なのである。若い頃から自分の信じる道を自分で切り開いて歩いてきた。もうやりたいことはほとんどやった。苦しい時期もあったが概ね楽しい人生だった。もういつ死んでも後悔はない。最後に望むのは京都に死す・・くらいか。支えてくれた嫁はん 友人たちにありったけの感謝を贈りたい。
芸能人の書いた本て面白くない。今回は葛飾にバッタを見た・・のフォークシンガーのなぎら健壱の 酒にまじわれば 文藝春秋刊 2008年初版。まあ本人がのんべぇなので それにまつわるエピソードを集めた・・というか そもそも朝日新聞のコラムの連載を集めて単行本にしたらしい。で 何がつまらんか?って 必死に笑わそうとするのだが 全てにおいて空振りなのだ。酒呑みは笑いをとろうとしないでひたすら呑めばいい・・と思うのだが。酒呑みの・・というと 知人にあたしを見ると吉田類を連想する・・と言われたのだが・・吉田類 自称酒場詩人 酒場放浪記ってTV番組を持ってるけど あの人の呑み方は嫌いだ。まず店で帽子(ハンチングを脱がない)のが嫌 そりゃスタイルかも知れんが店の中で帽子はマナー違反だろ?と思う。アメリカ西部の酒場なら別だろうが ここは日本だ。あとTV番組だからか知れんが(本も出てるけど)居合わせたみんなに乾杯を強要するのがまた嫌だ。そりゃ有名人かも知れんが 誰もあんたと呑みたくないよ。それをTVの画のために強要・・あー最低だなと思う。作家の酒の呑み方で許せそうなのは 椎名誠とあやしい探検隊のもう阿呆としか言えない呑み方くらいだろうか?酒の席で格好つけるのは好きではないし そもそも格好つけなきゃならん店に行かない・・というか行けないwのでどーでもいい。あたしが一番いい呑み方してのは20代だった。吉祥寺のJazz喫茶で相手は成蹊の高校生・・って時点でもう違法だがw いい雰囲気のJazz喫茶で料理も若い人向けのボリュームのあるもの 酒はみんなサントリーホワイトだ。もっと高い酒もあったんだが みんな貧乏だったし 学生もリーマンもみんなホワイト。誰か懐が暖かい人がボトル入れると 友人間で次々とボトルが回され戻ってくるころには残り少しw あたしも入れたし友人の友人のボトル つまり知らない人wのボトルから呑んだりしてたわけで 店全体が家族みたいなもんだった。店の名前はFAMILYと言う。まあ酒呑みは酒だけ呑んでりゃいいんであって 思い上がって本なんか書こうと思わないことだ。