2)感染者検査の問題
今回は話題の検査についてです。
「検体採取問題 今は鼻粘膜で決着。最近のデータでは唾液も候補。」
と先日書きましたが、唾液が有力な検体候補というものは、紹介したNatureのまとめ記事の中にありました。
これが本当であれば、検体採取が非常に楽で安全になります。被験者も採取者も双方が楽になるのは素晴らしいことです。
これが本当であれば、検体採取が非常に楽で安全になります。被験者も採取者も双方が楽になるのは素晴らしいことです。
その一方で「PCR検査数が少ない問題」がまた改めて取り沙汰されています。
SARS-CoV-2の検出は単なるPCRではなく、RNA抽出→逆転写反応→PCRで、検体を扱う手数が多い。そのため、扱う方の技術的レベルの差異、ミスが起きやすい点が問題となっています。
試薬、人、機器、この3つの質量が揃いませんと結果が出ません。先日の政府の話では人がボトルネックになっている、とのことでした。しかし、日本にこの検査をできる能力のある人が少ないため、ではないのです。
臨床試験、行政試験は国の認証を受けた機関が検査をしなくてはいけない、ことが原因なのです。そして、通常はそんなに多くの検査があるわけではありませんから、キャパシティは限られています。そしてすぐに人を増やしたり減らしたりはできない。
3つの条件が揃っている、民間の検査機関や大学、研究所は沢山あるのですが、厚労省のお墨付きがないと検査が許可されないのです。
勝手にやってもその結果は採用されないということになって、完全な無駄となります。
この辺りをどう解決するのか。
試薬、人、機器、この3つの質量が揃いませんと結果が出ません。先日の政府の話では人がボトルネックになっている、とのことでした。しかし、日本にこの検査をできる能力のある人が少ないため、ではないのです。
臨床試験、行政試験は国の認証を受けた機関が検査をしなくてはいけない、ことが原因なのです。そして、通常はそんなに多くの検査があるわけではありませんから、キャパシティは限られています。そしてすぐに人を増やしたり減らしたりはできない。
3つの条件が揃っている、民間の検査機関や大学、研究所は沢山あるのですが、厚労省のお墨付きがないと検査が許可されないのです。
勝手にやってもその結果は採用されないということになって、完全な無駄となります。
この辺りをどう解決するのか。
例えば疫学的調査に限っては行政組織以外でも検査が行えるようにする、などの臨時措置が必要かと思います。それに限らず、一部の臨床試験もやってもらうのが現実的かもしれません。
実際3月初め頃には、この縛りを緩和する通知も厚労省から出ているようです。地方自治体が決意すれば臨時のPCRセンターが設置できるのです。そしてすでにそのような措置をとっているところもあります。
全自動PCR機器も出てきているので、あとは行政がどううまく使っていくか、でしょう。(利権が、、、という噂もありますが、裏が取れないので、やめておきます)
慈恵医大では自分たちの病院の医療体制を守るために、大学を挙げたPCR検査チームを立ち上げ、慈恵医大独自のPCR検査センターを作っています。患者さんに対し、PCR検査を徹底し、あらかじめ感染の有無を確めて診療を行う、というものです。心理的にも現場はとても安定し、よりスムーズな医療が提供できるようになると思います。
全ての方を検査するので、陰性の方の検査費用は保険診療請求はできません。病院の持ち出しということです。ただ、それでも十分の見返りが期待できると判断したようですし、実際その通りとなっているようです。
当該施設でのPCR検査の原価は700~800円とのこと。もちろん人件費は別です。慈恵医大は基礎研究部門も充実していますので、それこそ人的資源は豊富と言えます。ただ、今時RT-PCRは生命科学系実験では不可欠の基礎的実験技術です。生命科学系研究を行っている大学であれば同様の対応は可能かと思います。
インフルエンザのテストのような簡易キットはまだか?と思われる向きもあるでしょう。ウイルスの免疫学的検出が、インフルエンザのテストのように検出できるようになるためには、良い抗体(感度、特異度どちらも100%に近いもの)の作成が重要。
もう少し、時間がかかると思います。今すぐどうにかできる状況ではない。
やはり確実で手っ取り早いのはPCR体制の充実でしょう。
やはり確実で手っ取り早いのはPCR体制の充実でしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/fb/1815dab261c1fd5622418ff722bf2979.jpg)
今年の八重桜ももう終わりです。
ところで、PCR以外の検査として今話題になっているのは、「人々が感染した経験があるかどうか」を、抗体の有無で検出する、抗体検査でしょう。
この検査ではROCHEの抗体検査キットが広く使われるようになるのだと思います。血液による検査を精度高く(感度、特異度)行うことができるようです。ほぼどちらも100%近い数値のようですから、さすがのROCHEです。先週米国で認可が降りました。日本も5月中には発売できるよう、動いているそうです。
米国は、経済活動を含めた全ての人間の活動を再開するにあたり、この抗体検査のデータを参考にするようです。
米国は、経済活動を含めた全ての人間の活動を再開するにあたり、この抗体検査のデータを参考にするようです。
しかし、先日も書きましたが、実はここが難しいところなのです。
通常、ある病原体に対して抗体が観察されれば、その方はその病原体に対して免疫である。つまりその病原体により、感染症を発症することはない、というのが抗体の常識です。
ところが、このSARS-CoV-2をはじめ、SARS、MERSの原因コロナウイルスなどある種のウイルスに対しては、抗体と言っても厄介な性質の抗体を作る場合があるらしいのです。
通常、ある病原体に対して抗体が観察されれば、その方はその病原体に対して免疫である。つまりその病原体により、感染症を発症することはない、というのが抗体の常識です。
ところが、このSARS-CoV-2をはじめ、SARS、MERSの原因コロナウイルスなどある種のウイルスに対しては、抗体と言っても厄介な性質の抗体を作る場合があるらしいのです。
詳細は次の項で書きますが、抗体を持っていればもう感染しない。感染しても軽く済む。とは言えないようなのです。
したがって、この抗体検査の結果では、少なくともウイルスに感染した経歴があるかどうかが分かり、人口のどのくらいに感染が広がったのか、を明らかにすることはできます。
したがって、この抗体検査の結果では、少なくともウイルスに感染した経歴があるかどうかが分かり、人口のどのくらいに感染が広がったのか、を明らかにすることはできます。
しかし、残念なことに必ずしも人々が以前と同様の社会活動をしても大丈夫と、判断する材料にはならないのです。
(続く)
(続く)