私、昨年からすっかり乗せられております。昨年のお正月には国立科学博物館に詣でました。昨年の年末年始は南方熊楠の特別展がありまして、それを目的に行ったのでした。特別展も良かったのですが、お正月の上野の雰囲気も悪くないと思いました。
今年は興味を引かれる展覧会はなかったのですが、東京国立博物館で長谷川等伯の『松林図屏風』が2年振りに公開されるとのこと。これを目当てに出かけてきました。

東京国立博物館本館はお正月らしい設えでした。(上は池坊 倉重 伸、中野 幽山氏の生け花) 本館前では湯島天神白梅太鼓、獅子舞なども披露されたり。博物館もお正月らしいイベントを工夫をしていらっしゃる。外国の方も多かったですね。英語、イタリア語、スペイン語、中国語、韓国語、フランス語が聞こえました。数年前までは中国語と韓国語が多かったと思います。そしてときどき英語が聞こえていたくらい。今日は特にいろんな言語を聴きました。クリスマス、お正月休暇で旅行に来られているのでしょうか。
展示もお正月を意識したものになっていて、松林図屏風の高精細複製品にプロジェクションマッピングを映し出す、などというのもやっていました。松林図に雪が降ったりしていまして、なかなか幻想的な映像になっていました。皆さん興味深くご覧になっていたと思います。
もちろん、私はオリジナルを鑑賞するのが目的だったので、早速2階へ向かいました。

長谷川等伯 『松林図屏風』 1593-5年頃
私は長谷川等伯のファンでして。安土桃山から江戸初期に活躍した方なのですが、こういう方の常として、時代を超越しています。
明治の頃に朦朧体がありましたが、それを遡ること300年。既にここに為されておりましたね。
これ、現物を近くでじっくり眺めますと、何とも粗い筆致なのです。松の葉などは毛先の揃っていない刷毛のようなもので墨をさっさ、と掃いただけ。とても松の葉とは思えないのですが、遠くに行くとあら不思議。とんでもない幽玄たる世界が現出しているのです。
まぎれもない、天才ですね。 年初から良いものを観せて頂きました。