晴れ巻雲? or 雨巻雲?
これ(上の写真)は晴れ巻雲。
それではこれ(上の写真)は?
あれー、緑色で囲ってある雲は綺麗なスジ状の晴れ巻雲なのに、赤色で囲っている、昇り竜のような雲は、もっとも危険な雨巻雲ではないか!この雲は上層の大気がとても乱れているときに現れる雲で、発達した低気圧や台風、寒冷前線、上層の強い寒気などがやってくる前兆として現れます。一番覚えておきたい巻雲です。
晴れ巻雲と雨巻雲、両方あるよ。どっちが本当?
この日は、晴れ巻雲、雨巻雲が沢山現れて空が大忙し。非常に美しい巻雲でしたが、日中は上層の雲に覆われていったものの、大きな天気の崩れはありませんでした。それでは、どうして「もっとも危険な雨巻雲」が現れたのでしょう。
それは、上層の天気図に答えが載っていました。下図は300hPaの天気図です。
天気図の見方は少し難しいのでここでは述べませんが、赤い矢印に着目します。これはジェット気流を示しています。ジェット気流とは上空10,000m付近を吹いている非常に強い風のことで、この周辺では大気が乱れています。ジェット気流が危険な雨巻雲を生じさせていたのですね。
やはり天気図を見ないと観天望気は難しい、ということになります。
この日の天気図(上)を見ると、関東沿岸に低気圧がありますが、八ヶ岳山麓(写真を撮った場所)からは遠ざかっていき、前線も南海上に離れて弱いながらも九州付近に隠れている高気圧に覆われていく形です。つまり、天気を崩す要素はありません。上層の寒気も特に強いものが南下する気配もありませんでした。
最後にもうひとつ、危険な巻雲+積雲の雲画像をご紹介します。
西の空に巻雲が広がっており、毛羽立ちながら東側(手前)に広がっています。このような毛羽立ちは、上空の風が非常に強い証拠で、南北に広がっているときは、大気が乱れていることが多いです。また、このようなとき、右手前側にある積雲(塊状の雲)があり、次第に大きくなっていくときは要注意。強い寒気が南下してきたり、寒冷前線が接近してきたりするときによく現れる雲です。このような雲が現れたら天気の急変に気を付けましょう。
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文責:猪熊隆之